伊能忠敬の世界

鴫原正義

最近はパソコンやスマートフォンでも日常的に精細でリアルな地理情報が得られますが,今回はそんな技術からおよそ程遠い時代に17年もの歳月を費やして正確な日本地図を書き上げた伊能忠敬(1745~1818)の世界を追ってみましょう。

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忠敬は1745(延享2)年に上総国山辺郡(現千葉県山武市)に生まれています。6歳の時に母を亡くし,一時は母方の祖父母の元に留まりますが10歳の時に父に引き取られ育ちます。その後18歳で下総国香取郡(現千葉県香取市)の伊能家に婿養子に入ります。酒造業を営む伊能家では本業の他に賃金業を営み,利根川の水運にも関わるなどで伊能家を再興して大きな財産を築くのです。

50歳になる1794(寛政6)年には家督を長男に譲って隠居生活に入りますが,翌年には財を基に江戸に出て,幕府の天文方として名を上げていた高橋至時(よしとき/1764~1804)に師事し測量や天文学の修行を始めるのです。因みに天文方とは,天体の運行を基にした暦の研究をしているエリート達の組織です。隠居の身でありながらその猛勉強振りは19歳も若い師さえ驚く程でした。

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