5. おわりに
本稿では,筆者らがこれまでに開発を進めてきたNILという転写・印刷技術を用いたナノフォトニクスデバイス作製とバイオセンサ開発,我々の生活環境に溶け込んだバイオセンサ開発について概説してきた。
概説してきたバイオセンサ開発の他に現在筆者らはPhCの設計についても注力しており,細胞代謝産物の検出やエピゲノム解析といった応用を可視領域の光を用いて実現するためのバイオセンサを,NILを用いて作製しており,①誰もが,②安価に,③簡単に,使用できるデバイスとなるように応用展開を進めている。
しかし,NILを用いたナノフォトニクスデバイス作製には,鋳型作製が最も重要な課題となる。鋳型作製精度・アスペクト比・コストなどについてこれからも改善が必要な課題は多々あるため,今後はこちらについても改善を進めていくことを計画している。
謝辞
本研究の成果は,科学研究費助成事業,科学技術振興機構A-STEP,さきがけ,日本医療研究開発機構 医療分野研究成果展開事業(先端計測分析技術・機器開発プログラム)の助成を受けたものである。ここに謝意を表する。
2)S.K. Metkar, K. Girigoswami, Biocatal. Agric. Biotechnol., 17, 2019, 271-283.
3)M. S. Rider, S. J. Palmer, S. R. Pocock1, X. Xiao, P. Arroyo Huidobro, V. Giannini, J. Appl. Phys., 125, 2019, 120901.
4)E. Petryayeva, U. J. Krull, Anal. Chim. Acta, 706 (1), 2011, 8-24.
5)H. Schift, Appl. Phys. A, 121, 2015, 415-435.
6)T. Endo, S. Ozawa, N. Okuda, Y. Yanagida, S. Tanaka, T. Hatsuzawa, Sens. Actuators B Chem., 148 (1), 2010, 269-276.
7)T. Endo, M. Sato, H. Kajita, N. Okuda, S. Tanaka, H. Hisamoto, Lab Chip, 12 (11), 2012, 1995-1999.
8)W. Hashimoto, T. Endo, K. Sueyoshi, H. Hisamoto, Chem. Lett., 43 (11), 2014, 1728-1730.
9)D. Kawasaki, H. Yamada, K. Maeno, K. Sueyoshi, H. Hisamoto, T. Endo, ACS Appl. Nano Mater., 2 (8), 2019, 4983-4990.
10)T. Endo, H. Kajita, Y. Kawaguchi, T. Kosaka, T. Himi, Biotechnol. J., 11 (6), 2016, 831-837.
■Associate Professor, Department of Applied Chemistry, Graduate School of Engineering, Osaka Prefecture University
(月刊OPTRONICS 2020年9月号)
このコーナーの研究は技術移転を目指すものが中心で,実用化に向けた共同研究パートナーを求めています。掲載した研究に興味があり,執筆者とコンタクトを希望される方は編集部までご連絡ください。 また,このコーナーへの掲載を希望する研究をお持ちの若手研究者注)も随時募集しております。こちらもご連絡をお待ちしております。 月刊OPTRONICS編集部メールアドレス:editor@optronics.co.jp 注)若手研究者とは概ね40歳くらいまでを想定していますが,まずはお問い合わせください。
同じカテゴリの連載記事
-
竹のチカラで紫外線による健康被害を防ぐ 2024年12月10日
-
光周波数コムを用いた物体の運動に関する超精密計測と校正法 2024年11月10日
-
こすると発光色が変わる有機結晶の合理的創製 2024年10月10日
-
光ウェアラブルセンサによる局所筋血流と酸素消費の非侵襲同時計測 2024年09月10日
-
関心領域のみをすばやく分子分析するラマン分光技術 2024年08月12日
-
熱画像解析による土壌有機物量計測技術の開発 2024年07月10日
-
組織深部を可視化する腹腔鏡用近赤外分光イメージングデバイスの開発 2024年06月10日
-
8の字型構造の活用による高効率円偏光発光を示す第3世代有機EL材料の開発 2024年05月07日
展示会情報
OPIE ’25
OPK2025
転職情報
オプトキャリア