ポリマー光ファイバーで挑戦する民間の防災 —有機材料の利点を生かして—

4. おわりに

ポリマー光ファイバーを使ったひずみの「見える化」技術の極めて初期の歩みとして,テーマの着目から初期のデータまでをご紹介した。センサーの感度や埋め込み方法などを中心に,実用化までは多くのハードルがあるが,POF特有の可とう性を利用したひずみセンシング,プラスチックの低温での加工性を生かした低分子色素を担持する構造など,有機物の特徴を生かすべく提案であると著者らは考えている。一般に有機デバイスの研究は,構造,評価,理論に至るまで無機の先例に倣うケースが多いため,有機独自のものとして発展させたいと考える。

謝辞

本稿で紹介した研究内容は,交通運輸技術開発推進制度「交通インフラにおける老朽化対策,事前防災・減災対策及び的確な維持管理・更新−災害に強い公共交通に向けた技術開発−」シールドトンネルの平常時のモニタリングおよび掘削時の安全管理へ向けたセグメント組込型有機導波路の提案(平成27,28,29年度)により実施した。Materialsとmechanicsの導入に関して有志でご教示を賜りました,東工大名誉教授の森勉先生に感謝と尊敬の意を表します。

参考文献
1)K. O. Hill, Y. Fujii, D. C. Johnson, and B. S. Kawasaki, Appl. Phys. Lett. 32, 647 (1978).
2)M. Nikles, L. Thevenaz, P. A. Robert, J. Lightwave Technol. 15, 1842, (1997).
3)K. Hotate and T. Hasegawa, IEICE Trans. Electron. E83-C, 405 (2000).
4)R. G. Brown, Appl. Opt. 6, 1269 (1967).
5)戒能俊邦,藤木道也,奈良茂男,神宮寺要,信学会マイクロ波研究会資料,MW81-74, 1 (1981).
6)T. Kaino, M. Fujiki, S. Nara, J. Appl. Phys. 52, 7061 (1981).
7)戒能俊邦,藤木道也,神宮寺要,奈良茂男,研実報,32, 2479 (1983).
8)大塚保治,光学,10, 105 (1981).
9)Yasuhiro Koike, Yoshihiko Kimoto, and Yasuji Ohtsuka, Appl. Opt. 20, 1057 (1982).
10)武藤真三, T. IEE Japan, 120-E, (2000).
11)池上和律,西沢博志,応用物理,67 (1998).

12)古川怜,特願2015-065790.

■Challenge of the polymeric optical fiber: Towards cheaper structural monitoring
■Rei Furukawa

■The University of Electro-Communications, Department of Engineering Science, Graduate School of Informatics and Engineering, Associate Professor

フルカワ レイ

所属:国立大学法人 電気通信大学 情報理工学研究科 基盤理工学専攻 准教授

(月刊OPTRONICS 2018年1月号)

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