真空紫外光による光加工技術の新展開

6. まとめ

VUV光による接合技術はまだ開発の端緒についたばかりであり,我々も様々な異種材料間の接合に成功したのはごく最近のことである。接合のメカニズムも完全に明らかにはなっておらず,任意の波長を取り出せるような光源も未開の状態である。今後,メカニズムの解明による狙った結合の切断と再結合,それを実現する波長の光源開発が,光接合技術のキーとなることは間違い無い。

VUVによるガラス化手法に関しては,大面積化と曲面への応用に展開すべく研究を進めているが,本手法はモスアイ構造のみならず,例えば偏光板や導光版といった光学機能表面や,マイクロ/ナノ流路構造によるバイオチップ応用,微細凹凸構造による撥水表面や防汚表面など,様々な応用が期待されるものである。また,本手法がもたらす低コスト化とプロセスの簡単化によって,メガネや一般家庭の窓ガラスなど,これまで採算が取れずに用いることが叶わなかった用途などにも適用できる可能性があり,今後,本手法が広く普及することを願っている。

以上に紹介したVUV光による光加工は,設備面でもコンパクト化が可能で,持ち運んで工場外の現場で活用することも可能である。さらに,プラズマ処理に必要な処理ガスを扱う必要も無いことから,安全管理の上でも優れており,今後,様々な活用が期待される。

参考文献
1)菱沼宣是,菅原寛,「エキシマランプと光洗浄」,技術コンタクト,4月号,pp. 200-207 (2003).
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13)YI-F. H., et al.: “Improved broadband and quasi-omnidirectional anti-reflection properties with biomimetic silicon nanostructures”, Nature nanotechnology, Vol.2, No.12, pp.770-774 (2007).

14)橋本優生,茂木克雄,山本貴富喜,“真空紫外光によるシリコーンのガラス化を利用したガラス製モスアイ構造の作製法”,第32回「センサ・マイクロマシンと応用システム」シンポジウム, (2015).

■Development of Optical Fabrication Method Using Vacuum Ultraviolet Light
■Takatoki Yamamoto

■Department of Mechanical Engineering, Tokyo Institute of Technology

ヤマモト タカトキ

所属:東京工業大学 大学院機械系 准教授

(月刊OPTRONICS 2016年10月号)

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