
可視光半導体レーザー応用コンソーシアム(VLDAC)はこの2月28日,大阪大学レーザー科学研究所で第10回記念可視光半導体レーザー応用シンポジウムを開催した。
テーマは『大きく広がり出した可視光半導体レーザー応用』で,4件の講演とトークセッションというプログラムで行なわれた。まず,主催者としてVLDAC代表の山本和久氏(大阪大学・特任教授)が挨拶に立ち,「今回設立から10周年を迎え,シンポジウムも10回目となった。可視光半導体レーザーの性能向上と応用展開による市場の活性化を使命として活動してきたが,次の10年に向けて若手にも参画していただき継続していきたい」と述べた。
続いて,東京大学名誉教授の黒田和男氏(日本光学会レーザーディスプレイグループ代表)が来賓として挨拶を述べ,シンポジウムは開始となった。今回のトピックスとしては,一つはソニーグループが開発中の凹面型VCSELにおいて2024 年にマルチモードで22%の効率を達成したと発表。ソニーグループが開発するVCSELは共振器を長くとり,凹面ミラーを採用することで光のロスを抑制している。
二つ目は日亜化学工業が発表した加工用WBC(Wavelength Beam Combining)青色レーザー光源だ。同社によると,現在主流は溶接用途だが,切断用途のニーズも増えてきているとしたうえで,より高輝度な光源が求められるという。そこで狭線幅DBR-半導体レーザーモジュールを波長重畳することで出力1.7 kW,輝度18 MW/cm2 を実現。実際に2 mm厚の銅板の切断することにも成功したという。
三つ目にはスタンレー電気とカシオ計算機が共同で開発している回折光学素子(DOE)を用いたレーザー投光器=写真=で,DOEを用いることで低コスト化を可能にするとともに,設備投資の抑制も実現するとしている。当日はデモも行なわれ,DOEによる高密度なドット画像による投影像を確認することができた。
可視光半導体レーザーはプロジェクター市場が成長をけん引しているが,スマートグラスや照明,自動車応用などが,さらには高出力化によって加工応用が期待されている。今後の可視光半導体レーザーの市場動向は注目されるところだ。