情報通信研究機構(NICT),アストロデザイン,フジクラは,4コア標準外径マルチコアファイバ8本を有するマルチコアファイバケーブルを開発し,非圧縮8K映像を扱う実システムに,超大容量データ伝送ユニットとして実装することに初めて成功した(ニュースリリース)。
非圧縮8K映像は,超高解像度の映像を遅延無くリアルタイムで得られるが,1映像当たり70Gb/s程度のデータを伝送するため,1台のカメラごとに単芯のシングルモードファイバ1本が使われてきた。そのため,多数のカメラに対しては何本もの光ファイバケーブルを設置するスペースが必要だった。
今回使用されたマルチコアファイバは,従来のシングルモードファイバと同じガラス外径(125μm)及び被覆外径(250μm)の中に4つのコアを配置。コア同士の信号干渉を低減するため,設計を最適化している。
マルチコアファイバケーブルは,外径3mmの被覆内に4コア標準外径マルチコアファイバを合計8本実装しており,従来の光ファイバ32本分に相当する情報伝送が可能。また,試験目的として,信号干渉特性の異なる2種類のマルチコアファイバを実装した。
さらに,マルチコアファイバの両端には光コネクタが成端されており,マルチコアファイバ多重分離器を介して,画像システムや短距離システムへの導入も可能。
今回,マルチコアファイバケーブルを用いた伝送ユニットを開発。僅かな建物内のスペースを通し,クリーンルーム内に設置された複数の8Kカメラからの大容量映像データを,別の建物にある8K映像制御装置まで300m伝送し,システム動作に成功した。
伝送ユニットは,4コア標準外径マルチコアファイバ8本を有するマルチコアファイバケーブルと,各4コア標準外径マルチコアファイバと通常の単芯光ファイバ4本とを結合する,マルチコアファイバ用多重分離器から構成される。
多重分離器は微少空間結合光学系を利用して非接触にて接続。シングルモードファイバをマルチコアファイバの各コアに合わせて各々最適に調整することが可能で,結合誤差が極めて小さく低損失,多様なマルチコアファイバのコア数やコアピッチでも対応できる。
さらに,光路中に接着剤等を使用せず,各部品の固定にはYAGレーザー溶接を用い,耐パワー特性にも優れる。また,ケーブルとファイバ用多重分離器は,専用コネクタを用いてマルチコアファイバ同士の接続性を容易にした。
これにより,配線スペースに余裕のない建物内や建物間をまたいで,非圧縮8K映像システム等の大容量データ伝送が可能になるとしている。