西日本電信電話(NTT西日本)とシスコシステムズは,拡大を続けるトラフィック需要への持続的な対応をめざした大容量・低消費電力を両立するサステナブルなネットワークの実現に向けて,2025年3月13日に,IPと光伝送機能を統合的に制御するコヒーレントプラガブルオプティクスを活用したC+Lバンドでのフィールド接続を,大阪府内の拠点間(約60km)で世界で初めて実証した(ニュースリリース)。
近年,大規模なデータ処理や機械学習モデルのトレーニングの増加に伴い,データセンタ間の通信トラフィックが急増している。また,クラウド利用や映像配信需要の拡大も加わり,国内外で通信トラフィックの増加が続いている。
それに対応するためには,ネットワークのシンプル化や省電力化を実現するサステナブルなネットワークの構築が必要不可欠。この課題に,よりコスト効率的に対応するためには,光ファイバ1芯あたりの大容量化のアプローチが効果的となっている。
光ファイバの大容量化については,現在使用されているCバンド(1530~1565nm)やLバンド(1565~1625nm)単独での波長多重に加え,C+Lバンドの波長帯域で各信号を多重することで,従来比約2倍の伝送容量が確保可能となるとしている。
従来,このような大容量ネットワークを構築する際,従来はCバンド,Lバンド共にトランスポンダおよびWDM伝送装置での実現が主だった。一方,近年では光技術の急速な進展により,光デバイスの小型化によるプラガブルモジュールの出現により,ルータへの搭載も可能となり,実装も進んできている。
今回,研究グループは既に実装が進んでいるCバンド対応装置とコヒーレントプラガブルオプティクスのLバンド対応で先行するシスコのRON(Routed Optical Networking)技術を組み合わせ従来の約2倍の超大容量伝送を確認した。
また,IPと光伝送を融合したネットワーク構成において省電力・省スペースかつ安定した通信の実現を確認した。さらに,既存の光ファイバインフラを使用し,Cバンド・Lバンドともに伝送品質や光学的パラメータ(OSNRなど)を評価し,十分な伝送特性を満たした拠点間の光到達性を確認した。
研究グループは,これにより,将来的にはCバンド,Lバンド問わず直接WDM伝送装置へ接続することで,従来と同等な大容量ネットワークでありながら,従来構成比約50%の消費電力および約30%の導入スペースが削減可能な,サステナブルなネットワークの構築をめざすとしている。