日本電気(NEC)は,JAXAの宇宙戦略基金の採択及び補助金交付決定を受けて,光通信衛星コンステレーション構築に向けたシステム実証及び光ルータ基盤技術開発を開始した(ニュースリリース)。
国際情勢が大きく変化し,経済安全保障の重要性が増すなか,通信インフラにおける強靭性(レジリエンス)とセキュリティの確保が重要な社会課題となっている。例えば,自然災害などによるネットワークの寸断が生じると,経済社会に重大な影響を与える可能性がある。
こうした課題に対応するためには,レジリエントかつセキュアであり,地上ネットワークからの独立・並立を可能にする,複数の低軌道衛星を衛星間光通信で接続・連携させる光通信衛星コンステレーションが必要となっている。
光通信衛星コンステレーションによる通信ネットワークにおいて,光通信端末は物理的な帯域幅を提供し,ルータは相互接続性,高速性,安定性などの通信品質を決定づける。この基金の採択を受けて,同社は既に開発を進めている衛星間光通信技術に加え,5Gに係る技術開発を通じて培った知見も活かし,宇宙光通信ネットワークを支える光ルータ基盤技術の開発に取り組むという。
2026年度末までに必要な技術開発を完了し,2027年度末までに必要な技術の地上実証を実施する。さらに,この光ルータ基盤技術を含む宇宙光通信ネットワーク機能を搭載した低軌道衛星を2029年度末までに複数打ち上げ,光通信衛星コンステレーションによるネットワークシステムを軌道上で実証することを目指すとしている。