中央大ら,長波長光とCVによる非破壊検査技術を開発

中央大学と国立情報学研究所は,ミリ波・テラヘルツ・赤外線(MMW・THz・IR)帯域でのコンピュータビジョン(CV)画像計測に立脚する新たな非破壊検査手法を確立した(ニュースリリース)。

非破壊検査であるMMW-IR照射下において,立体物を扱うCV計測は一般的な平面撮像計測(写真・動画等)と比較してセンサの高い受光感度が求められる一方,波長ごとに同定対象の材質が紐付けられる観点からは併せて広帯域動作性が必要となり,これらを両立するMMW-IR素子は発展途上にある。

今回研究グループは,カーボンナノチューブ(CNT)がアレイ式で高密度に集積したイメージセンサを創出した。CNTのCV応用へと有用な超広帯域動作は実証済。今回,0.65mm間隔で40画素が集積されたCNTイメージセンサアレイを作製し,CV検査に有用な高感度動作を実証すると同時に,全ての光検出界面での感度誤差・形成位置誤差を大幅に抑制した。

このイメージセンサを基に,独自のMMW-IR CVシステムを構築した。姿形を具体的に把握する上でCVの中で一般にトモグラフィ(断層)モニタリング(CT)が最適な一方で,CTは長時間計測を伴う。そこで,深さ方向への情報量に欠けながらも3D空間内での迅速な配置把握を得意とする視体積交差モニタリング:VHに着目し,CTとのハイブリッド化へと展開した。

また,開発システムに対する基礎動作性能の定量化にも取り組んだ。空間分解能ではガラス筒の内部へ隠されたワイヤ(最小直径1mm)の復元に成功。またCNTセンサアレイの集積化密度が開発システムの空間分解能を支配的に定義する点を明らかにし,0.65mmピッチという精度を達成した。

材料・デバイス基礎特性,CV動作原理,システム性能評価に続き,実地試験までを見据えた簡易的な非破壊検査デモンストレーションを実施した。この結果では,CT計測により深さ情報を伴う断層像を材質毎に抽出した。

これらにより,深さ情報を含むMMW-IR CVを確立し,複雑化された観察物の構造取得に成功。総括として,660nm–1.15mmの超広帯域動作,雑音等価電力:一桁–二桁pWHz−1/2の高感度動作,感度誤差・配置誤差:4.6%・2.7%精度での0.65 mmピッチの40センサ画素アレイ集積,最小1mmの復元サイズ空間分解像,150秒(VH)・120秒(CT)の動作スピードといった基礎性能の下,深さ情報を含むMMW-IR CVを世界に先駆けて確立した。研究グループは,モノづくり現場での品質検査応用へ期待される成果だとしている。

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