世界最大の光展示会 存在感増す「量子」の実力は

会場まで待機する来場者

日本企業50社超が出展

一方,今年のPWには日本関連企業56社が出展。このうち28 社が参加する会場北側のJapan Pavilionでも来場者は途絶えることなく,担当者による熱心な製品説明,さらには活発な商談が繰り広げられていた。

日本特殊光学樹脂は今回,朝日ラバーと協力して素材をシリコンにしたフレネルレンズを主力製品として出品。従来のアクリルレンズは紫外線耐性に課題があったが,材料をシリコンに変えることで耐性を向上させ,透過率を上げることができるという。佐藤公一社長は「これによりUV LEDなどの紫外線アプリケーションへの適用を狙っています」と話す。UV-SWIRを通すシリコンと似た特性を持つ特殊な樹脂製のフレネルレンズも展示。「ハイパースペクトルイメージングやマルチスペクトルのセンシングに使ってもらえると考えています」(佐藤社長)。

来場者の関心を集めていたのは,QDレーザの世界最小クラスのオールインワン小型可視レーザー「Lantana」だ。これまで同製品は,緑・黄緑・オレンジの素子のみを販売し,ドライバーの提供は行っていなかったため,顧客側で用意する必要があった。さらに不可視光を波長変換して可視光にしているため,通常の半導体レーザーに比べてドライバーが2台必要だった。

新しくなったLantana は,ドライバーも波長を制御する機能等をすべて内蔵。ソフトをインストールすれば,波長の最適化を自動で行ない,10 ~ 20秒で使用可能なスグレもの。今後はファイバー付きモデルも展開予定で,小型化で自由度が向上,「なかでもバイオメディカル用途で扱いやすく,どこにでも置けるような設計が強み」と営業部の井ノ森 健一郎氏は説明する。

オキサイドは2000 年の設立以来,PWには毎年出展し,今年で25回目。古川保典会長は「Photonics WESTは最も重要な展示会だと考えている。私は現場第一主義のため,毎回参加しないと技術や市場のトレンドが分からないと思っています」と強い口調で話す。

今回は,高出力266nmレーザーと量子光源モジュールを一押しの展示品としており,ブースは終日盛況で,同社製品に対する市場の関心の高さが見て取れた。

今年のPWについて,古川会長は「昨年から量子技術や生成AI が強くなってきています。また,データセンター関連の需要が高まる一方,インダストリアル分野は昨年から低調で,防衛やメディカルもやや弱い傾向が見られますね」と解説する。

来年は「Vision Tech」新設

SPIEは,来年から新たに「Vision Tech West」が併設展示会に加わると発表。フォトニクス業界においてPWの役割は今後ますます重要性を増すことだろう。