ジャパンディスプレイ(JDI)は,2026年3月を目途に同社茂原工場(千葉県茂原市)での生産を終了すると発表した(ニュースリリース)。
厳しい過当競争が続くディスプレー産業への依存による慢性的な赤字体質から脱却するため,同社はセンサー&ソリューション及び先端半導体パッケージングへの参入を図るとともに,経営資源の最適化を図るため,ディスプレー事業についてはアセットライト化と生産効率の大幅な向上が不可欠と判断した。
そこで2026年3月を目途に固定費負担の大きい茂原工場でのパネル生産を終了し,固定費がより小さく,先端半導体パッケージングとセンサーの生産において効率が良い石川工場に生産機能を集約する。
茂原工場は,AIデータセンターのニーズのある多数の企業と資産売却を主眼に交渉を進めており,AIデータセンターとしての活用を推進する。 生産中の車載用を中心とするパネルは,作り溜めや石川工場への生産移管を行なうほか,ファウンドリーパートナーから調達することも含め,供給責任を果たすとしている。
同工場にて生産しているOLEDディスプレーは,生産終了に伴い自社生産を中断する一方,現在,eLEAP(次世代OLED)パネルについてはファウンドリーパートナーと協議を進めているという。
生産を集約する石川工場(基板サイズG4.5)は,茂原工場(同G6)と比較して固定費が約4分の1と小さく,G4.5基板サイズは今後同社が注力する先端半導体パッケージングやセンサーの生産に有利だとする。同工場ではこれら利点を活かしつつ,競争優位性の高い製品に特化し,収益改善を図る。
さらに,石川工場に茂原工場のG6液晶セル工程の設備を移設し,ファウンドリーからG6基板の調達を行なうことを予定しており,石川工場を「G4.5+G6」の工場に転換させ,MULTI-FAB工場としてG4.5+G6高付加価値ディスプレー,センサー,先端半導体パッケージングの同時生産が可能な体制を構築する。
石川工場における先端半導体パッケージング生産については,資本業務提携するテック・エクステンション(TEX)と台湾PanelSemi Corporationの知見と技術と,同社の高密度配線技術と薄膜・ガラス加工技術を融合し,高性能かつコスト競争力の高い半導体パッケージングを提供するとしている。