OKI,従来の55倍の放熱性を実現したPCB技術を開発

OKIグループでプリント配線板(PCB)事業を行なうOKIサーキットテクノロジーは,従来の55倍の放熱性を実現した「凸型銅コイン埋め込み高多層PCB技術」の開発に成功したと発表した(ニュースリリース)。

半導体の小型化・高性能化に伴い,高速・大容量データを処理する際に発生する熱への対策が課題とされている。装置の小型化により冷却ファンやヒートシンクが搭載できない場合や,宇宙空間など真空状態で空冷技術が使用できない場合,PCBには搭載された電子部品が発生する熱を筐体など外部に伝えて逃がす「高効率な熱伝導による放熱構造」の実現が求められている。

同社は熱伝導率の高い銅(銅コイン)をPCBのスルーホールに円柱状で挿入し,発熱する電子部品と接合することにより基板の裏側へ放熱させる独自技術「銅コイン埋め込み高多層PCBの設計・量産技術」を実現している。

装置の大きさにより電子部品に放熱部品を直接取り付けられない場合や,イメージセンサーや発光部品など一部が機能面となり放熱部品を取り付けることができない場合に,PCBの裏面に伝熱する銅コインを用いることで高い放熱効率を実現した。今回,この技術を進化させ,さらに約2倍の放熱効率を達成する「凸型銅コイン」の開発に成功した。

これは,発熱する電子部品側の接合面に対して放熱側の面積を大きくし,熱伝導効率を向上させたもの。また,電子部品の形状に合わせた最適な放熱構造を目指し,矩形の電子部品への接触面積や放熱部の面積を大きくすることで放熱効率を上げるため,従来の円形タイプに加え,部品接地面と放熱面を矩形にしたタイプも開発した。

2タイプとも,搭載部品とPCBの形状・板厚に合わせて最適な放熱構造になるようカスタマイズが可能。これにより,小型装置や宇宙空間のような空冷技術が使えない環境において,PCBに搭載された電子部品が発生する熱を筐体などの外部へ伝えて逃がす「高効率な熱伝導による放熱構造」が実現したという。

同社では今後,小型装置や宇宙空間などで空冷技術が使用できない市場への投入を目指し,量産技術の開発を進めていくとしている。

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