阪大ら,銅基板同士を大面積に銀塩焼結接合

大阪大学とトッパン・フォームズは,新たな銀塩焼結接合技術の開発により無垢銅基板同士の接合において,これまでを上回る大面積接合(35mm×35mm)を実現し,接合強度も50MPa(メガパスカル)以上と,ハンダによる接合を上回る数値を達成した(ニュースリリース)。

地球環境問題への関心が高まり,CO2排出量削減の要求をはじめ自動車や通信分野をはじめとするあらゆる産業で省エネ対応が強く求められている。

こうした時代の要求に対して次世代パワー半導体が期待されているが,半導体は本体の小型化が進むほど回路に流れる電流が密になり高温となるため,耐熱性を持ちながら,排熱できる接合材料が求められている。

銀はハンダよりも高耐熱,高熱伝導であることから次世代の接合材料として普及が見込まれており,すでに一部の自動車や鉄道の半導体チップの接合に採用されている。しかし,パワー半導体製品の組み立てにはチップサイズ(一辺数mm)よりも大きな面積の部材(基板,ヒートシンクなど)の接合も必要になる。これらの接合も銀でできれば,製品の超高放熱化が可能となる。

しかし,これまでは①面積が大きくなるほど接合材に含まれる溶剤や分散剤などが抜けずに残留する,②銅が被着材の場合,接合途中で酸化されてしまうといった理由からその実現は困難だった。

研究グループは,プリンテッドエレクトロニクスの開発で培った銀塩インクを接合材として転用し,適切なプロセスで接合することでこの課題を解決した。銀塩インクは紙やプラスチックへの配線形成のためにつくられたため,不純物が残留しにくい成分で構成されている。これを適切な条件で前処理(乾燥)したのちに熱圧を加えることで,大面積の銅板を接合できた。

確認した接合強度(50MPa以上)はハンダを使用した接合の2倍以上の強度。前処理条件を最適化することで緻密な銀焼結層となった結果,内部への酸素の侵入が抑えられ,銅との接合界面が酸化されずに金属結合していることも確かめたとする。

なお,ハンダのなかでも鉛を多く含むものは融点が高くなるため高耐熱化できるが,環境への配慮から鉛フリー化がエレクトロニクス業界で推進されている背景からも銀焼結が注目されているという。

研究グループは,今後もパワーデバイスや高速大容量通信,さらにウエアラブル,ヘルスケア等に必要なセンシングデバイスなどに関する産学連携を進め,早期の社会実装を目指すとしている。

 

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