CFD,大電流パワー半導体用光プローブ電流センサー開発

シチズンファインデバイス(CFD)は,主に高周波,大電流のパワー半導体用の正確な電流測定が可能な,世界初となる光プローブを用いた電流波形測定用電流センサー「OpECS(オペックス)」を開発。4月下旬から販売を開始する(ニュースリリース)。

パワー半導体は電気自動車(EV)や再生可能エネルギー,スマートグリッド,5Gなどの分野で需要が拡大する一方,パワー半導体の技術開発には電流測定が必須だが,従来の電流測定器では,パワー半導体特有の高周波,大電流を正確に測定することができない,基板に実装されているものを直接測定できない,という課題があった。

そこで同社は,光プローブを用いた磁気光学式の電流センサー開発した。この製品のセンサーヘッドは光学部品のみで構成され,電気部品を使用しないため,高い周波数において測定可能な電流が制限されるという課題(周波数ディレーティング)が発生しないなどの利点があり,高周波・大電流における正確な測定が可能だという。

この製品は,光プローブのセンサー部とコントロールユニットで構成され,電流が流れる際に発生する磁界を,磁気光学効果によるファラデー回転を利用して測定し,電流に変換する。光プローブのセンサー部は,光ファイバーと磁性材料のセンサーヘッドで構成され,電気部品を使用していないので,電磁ノイズの影響を受けず,また誤って大電流を印加しても破損したり感電したりしないという特長がある。

光ファイバーの先端部分に配置されたセンサーヘッドは最細でφ0.45mmの極小サイズ。従来の電流波形測定用センサーでは測定不能だった狭所(例えば基板実装されたパワー半導体のワイヤー)の測定が可能。既存の電流波形測定用センサーのように,測定対象物をクランプして測定する必要がなく,光プローブを近接,接触させるだけで電流を測定できる。

直流,交流の測定が可能で,交流測定では,一般的な電流センサー(ロゴスキーコイル)の測定限界の約1.5倍となる150MHzの高周波の測定が可能。大電流(数千Aクラス)においても,測定対象物に適正な距離を保ってセンサーを配置することで測定が可能だとする。

超低Lsの特性があり,測定回路への影響が極めて低くいためノイズ影響が無く,幅広い用途に使用できる。これにより,パワー半導体だけでなく,発電所等の大規模かつ大電力を扱う産業分野での使用も可能だという。

なお,この製品の販売は,特約店契約を締結した岩崎通信機の販売網を通じて行なうとしている。
 

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