NTTら,複数回波長変換をしながら長距離伝送に成功

日本電信電話(NTT)と日本電気(NEC)は,IOWNオールフォトニクス・ネットワーク(APN)の適用エリア拡大に向けて必要となる波長アダプタ機能を有した光ノードシステムを開発し,光ノードシステムが複数回の波長変換を行ないながら長距離伝送可能であることを実証した(ニュースリリース)。

IOWN構想では,光技術を最大限に活用したAPNにおいて,大容量・低遅延なエンドツーエンド光パスを,消費電力を抑えつつユーザーに提供する。これにより,工場DXやインタラクティブなライブ映像配信サービス,遠隔手術を可能にすることが期待されている。

より広範囲にエンドツーエンド光パスを提供するためには,割り当てられた波長が異なる光パスをつないでいくことが求められる。これは,APN内の光パスが経由する光ノードシステムにおいて,光パスの波長を低遅延かつノージッタに所望の波長に変換することで実現可能となる。

NTTでは,APNを構成する光ノードシステム「Photonic Exchange」を研究開発してきた。長距離のエンドツーエンド光パスを効率的に提供するためには,Photonic Exchangeが光パスの波長を所望の波長に変換して適応させる波長アダプタ機能と,伝送性能の確保を両立する必要がある。

NECは,各光パスの波長を任意の他の波長に,光信号を電気デジタル信号へ変換することなく波長を変換できる光-電気アナログ-光(OAO)型波長変換技術の研究開発を進めてきた。

今回,NTTが研究開発を進めているPhotonic ExchangeにNECが研究開発を進めているOAO型波長変換技術を活用して,波長アダプタ機能の実験実証を行なった。

光信号から電気アナログ信号への変換に留め,電気デジタル信号へ変換することなく波長を変換することが可能OAO型波長変換器のプロトタイプを使用して,1周回あたり2個のOAO型波長変換器を含む周回伝送実験系を構築した。

この実験系を使用して,複数回の波長変換を伴う100Gb/s/λの光信号品質を測定した。その結果,4回の波長変換を施しても3,000km以上の伝送性能の確保ができたことを確認した。

さらに,今回の実験で使用したOAO型波長変換器では,従来の波長変換手法と比較して,波長変換により生じる消費電力を約90%削減,遅延量を約99%削減することができた。

同社らは,将来的には,この波長アダプタ機能を有した光伝送システムをAPN装置として実現することが期待されるとしている。

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