キヤノン,近赤外線域の撮像性能向上CMOSセンサー

キヤノンは,監視・産業・医療用CMOSセンサーの新製品として,1/1.8型で有効画素数約212万画素(1,936×1,096)の「LI7070SAC(カラー)/LI7070SAM(モノクロ)」を2024年10月31日に発売すると発表した(ニュースリリース)。

近年,監視カメラ・産業カメラにおいては,人間の目で見える可視光域の撮影に加え,人間の目で見えない近赤外線域の撮影の需要が拡大している。これに伴い,近赤外線域の撮像が可能なCMOSセンサーは,交通監視をはじめとする監視用途のほか,産業用途などにも活用の幅が広がっている。

肉眼では見えづらい暗い環境での監視を実現するほか,暗所での検査などの産業用途,蛍光血管撮影などの医療用途にも応用が可能。「LI7070SAC」は,同じ1/1.8型で有効画素数約212万画素の「LI7050」(2020年10月発売)と比較し,近赤外感度が約2.4倍に向上しているという。

また,新製品は,異なる露光時間で読み出した2枚の画像を重ねる二重露光方式により,120dBの広いダイナミックレンジを実現するHDR駆動機能を搭載している。トンネル内で検査用の照明を点灯する際など,明暗差の大きい状況においても白飛び,黒つぶれを抑えて高画質で撮像することが可能。通常駆動時でも75dBを実現するとしている。

さらに,小型ながら高感度を実現できるよう画素構造を設計するとともに,低ノイズを達成し,「LI7070SAC」は0.08lux(ルクス),「LI7070SAM」は0.04luxの低照度環境下でも,フルHD動画を撮像可能。公共施設や道路・交通機関などにおける夜間監視をはじめ,小型かつ高感度なイメージセンサーが求められる,水中ドローンに搭載するカメラや,顕微鏡用カメラなどにおいても活用できるという。

その他関連ニュース

  • 名大ら,近赤外光吸収と光熱変換に優れた化合物合成 2024年11月15日
  • オンセミ,SWIR Vision Systemsを買収 2024年07月08日
  • 阪大,近赤外光を選択的に吸収する無色透明材料開発 2024年06月24日
  • 東工大ら,可視-近赤外に反応する新規光触媒を開発 2024年03月12日
  • 京大ら,ナノ合金で近赤外領域の光電変換効率を向上 2024年02月19日
  • 理科大ら,脂肪酸分布の特徴をNIR-HSIで可視化 2023年12月22日
  • 名大,赤外分光でキウイの軟化過程を高精度に評価 2023年11月27日
  • ソニー,フルサイズ/グローバルシャッターミラーレス発売 2023年11月09日