科学情報分析支援を行なっている米クラリベイトは,ノーベル賞クラスの研究成果を表彰する2024年の「クラリベイト引用栄誉賞」受賞者を発表した(ニュースリリース)。
この賞は,研究者の論文の被引用件数や重要度の観点から,ノーベル賞受賞の有力候補者として,ノーベル賞受賞者の発表に先立ち毎年9月に発表している。2002年から2023年まで受賞者として発表した421名のうち75名の研究者は,その後ノーベル賞を実際に受賞している。
過去に日本人からは,「人工多能性幹細胞(IPS細胞)の開発」で山中伸弥氏,「窒化ガリウムを基盤とした半導体を用いた,青色レーザーおよび青,緑,白色発光ダイオード(LED)の発明」で中村修二氏,「オートファジーの分子メカニズムおよび生理学的機能の解明」で大隅良典氏,「PD-1およびその経路の解明により,がん免疫療法の発展に貢献」で本庶佑氏が,ノーベル賞を受賞している。
今年は米国から11名,英国から6名,スイスから2名,ドイツ・イスラエル・日本から各1名の合計22名が受賞した。このうち日本人としては化学分野より,信州大学の堂免一成氏,生理学・医学分野より,米国立眼病研究所の彦坂興秀氏が受賞した。
化学分野で受賞した堂免氏は「水分解用光触媒と太陽光水素製造システムの構築に関する基礎研究」の開発が評価された。
堂免氏は,1982年に東京大学理学系大学院化学専門課程博士課程修了,1996年に東京工業大学助教授を経て教授,2017年に信州大学環境・エネルギー材料科学研究所(現アクア・リジェネレーション研究所)特別特任教授(現在),2019年に東京大学特別教授室特別教授(現在)。