東陽テクニカの子会社である米TOYOTech LLC,シャープディスプレイテクノロジー,先端科学技術大学院大学は,有機EL素子の超低輝度における挙動を調べる検査技術を開発したと発表した(ニュースリリース)。
有機EL素子は,数十nmの薄膜を多層に積み重ねて形成されており,この薄膜の成膜条件の最適化を行なうために特性評価がある。この特性評価は,J-V-L(電流密度-電圧-輝度)特性と呼ばれる電圧を印加しながら素子に流れる電流と発光輝度の同時測定を行なうのが一般的となっている。
しかしながら,J-V-L特性では,素子の発光開始時における微小電流と低輝度については,装置の感度の限界から測定ができなかった。
今回開発した技術は,有機EL素子に流れる微小電流(変位電流)と,高感度のシリコンフォトダイオードによる発光強度の同時測定を行ない,急激な電流変化が発生する電圧と発光開始電圧の差を検出して,解析を行なうというもの。
また,超低輝度のみならず高輝度での電流,発光強度についても範囲を常に最適化しながら一貫して測定を行なうことができるという。有機EL素子の劣化で発生する表示ムラの解析に活用でき,有機EL素子のさらなる性能向上に寄与するとしている。
なお,この技術は2024年10月1日に「DCM1000型DC-JVL測定システム」として,米国や日本をはじめとしたアジア圏,ヨーロッパ圏に向けて,TOYOTechが販売を開始するという。