大阪公立大学の研究グループは,光反応性分子の結晶構造の違いにより,光反応の進み方が異なることが明らかにした(ニュースリリース)。
光や熱などの外部刺激によって物性が変化する刺激応答性材料は,次世代機能性材料として研究が盛んに行なわれている。研究グループでは,特に光によって構造が変化する分子(光反応性分子)で構成される,光反応性分子結晶の研究を行なっている。
研究グループはこれまで,2,5-ジスチルピラジンという光反応性分子の結晶中における光反応が,結晶端から中心に向かって進行すること,またこの特異現象は,結晶の端では光反応性が高いという表面効果と,反応した分子の周囲は反応性が高くなるという協同効果によることを明らかにした。
しかし,表面効果と協同効果が見られる原因は不明であり,結晶中での光反応を理解するためには,これらを明らかにする必要がある。
研究グループは,異なる置換基を持つ4種類のアントラセン誘導体の微小結晶を作成し,光照射時の光二量化反応進行過程の比較を行なった。その結果,均一な光照射を行なったにもかかわらず,化合物の種類によって,均一に反応が進行する場合と,結晶の端から中心に向かって不均一に反応が進行する場合の2通りの反応が起こることが分かった。
詳細な検討の結果,二量化反応の際のアントラセン分子の動きが小さい(Type A)場合には,均一に反応が進行し,二量化反応の際にアントラセン分子が大きく動く必要がある場合(Type B)には,不均一な光反応を起こすことが明らかになった。
次に,不均一な光反応が起こるメカニズムを検討した。Type Bの結晶では,分子が密に存在している結晶内部ではなく,周りにスペースがある結晶端のアントラセン分子が先に二量化反応を起こし,体積が小さくなる。
それにより,その内側にある分子の周りにもスペースができ二量化が次々に進んでいく。このように,反応が結晶の端から中心に向かって進行することを明らかにした。
研究グループは,この研究成果で得られた知見をもとに,結晶中の分子の配列・反応性を制御することができれば,反応を空間選択的に進行させ,目的の場所のみで光反応を引き起こすことが可能になるとしている。