阪大ら,生体内部が見える超解像顕微法を開発

著者: sugi

大阪大学と独イエナ大学は,生体内部を観察できる新たな超解像顕微法を開発することに成功した(ニュースリリース)。

超解像顕微法は高い解像度で生体を観察するのに有効。中でも縞状の光を照明して空間分解能を向上させる構造化照明顕微鏡(SIM)は,これを利用する生物,医,薬学の幅広い研究に役立ち,顕微観察技術の進展にも貢献する。

研究グループは,観察用対物レンズの焦点よりも薄いシート状の照明と,発光状態のon/offを切り替え可能な光スイッチング蛍光タンパク質を用いて,選択的に発光する領域を限定することで生体内部における背景光の発生を抑制することに成功した。

さらに,限定した発光領域に縞状の光を照明し蛍光を検出することで生体内部を超解像観察可能なシートアクティベーション型構造化照明顕微法(SPA-SIM)を開発した。実験では,開発した顕微法を用いて生きた細胞の3D観察を行ない,従来法では背景光が重なり見えづらい構造が明瞭に観察できるようになったことを確認した。

さらに従来法では観察が難しかった細胞スフェロイドの内部構造を超解像観察することに成功した。また,開発した顕微法は観察面内方向に140nm,奥行き方向に300nmという三次元的に高い空間分解能を有することを理論,実験的に確認した。

この成果により,従来の超解像顕微法の利用が及ばなかった生体内部の観察が可能となった。これは顕微観察技術の進展において重要なマイルストーンだとする。

また近年,細胞スフェロイドやオルガノイドと いった3D多細胞組織が生体発生や,疾患の原因究明,また生体の薬剤応答の観察といった幅広い分野の研究において関心を集めているが,詳細な空間分布を観察することは困難だった。

この研究はこれらを高い空間分解能で生きたまま観察可能で,これまで見ることができなかった現象を明らかにできる新たな技術となることが期待されるものだとしている。

キーワード:

関連記事

  • 京大ら,超解像顕微鏡法IRIS用プローブで分解能倍に

    京都大学と米リーハイ大学は,細胞機能を担うタンパク質複合体を可視化するため,抗血清から作製した超解像顕微鏡法IRIS用プローブと画像解析PC-coloringを開発し,8つの内在性タンパク質の分子局在とそれらの分子複合体…

    2025.04.25
  • 東大ら,タンパク質間相互作用を超高解像度で可視化

    東京大学と神奈川県立産業技術総合研究所は,細胞内でタンパク質間相互作用が起こっている位置とその数を一分子レベルの超高解像度でイメージングする技術を開発した(ニュースリリース)。 既存の超解像イメージング技術は,相互作用し…

    2024.06.10
  • 東大ら,XFELで生体観察できる軟X線顕微鏡を開発

    東京大学,理化学研究所,高輝度光科学研究センターは,生きた哺乳類細胞の姿を観察できる軟X線顕微鏡を開発した(ニュースリリース)。 水を透過し炭素に強く吸収される水の窓軟X線を用いて顕微観察を行なうことで,小さな生体細胞の…

    2024.05.24
  • 北大ら,短波赤外蛍光イメージングの医療用色素開発

    北海道大学と理化学研究所は,短波赤外蛍光イメージングの医療応用に向けた蛍光色素の開発に成功した(ニュースリリース)。 短波赤外(900-1400nm)蛍光は,生体内において組織からの吸収や散乱が少なく,ヒト乳がんの非侵襲…

    2024.04.08
  • 東工大ら,高光安定性かつ低毒性の蛍光色素を開発

    東京工業大学と九州大学は,高光安定性かつ低毒性のソルバトクロミック蛍光色素を開発し,約1時間の細胞分裂において,細胞膜中の脂質の組成や流動性を連続撮影することに成功した(ニュースリリース)。 生きた細胞の生体膜中の脂質層…

    2024.03.13
  • 京大ら,生体脳の神経伝達物質受容体への標識に成功

    京都大学と科学技術振興機構(JST)は,生きている動物脳内の天然に存在する神経伝達物質受容体たんぱく質を標識する新手法を開発した(ニュースリリース)。 従来は目印となるような蛍光を発するたんぱく質を,遺伝子組み換えにより…

    2024.02.02
  • 日大ら,量子計測を用いた超高感度光断層撮影法開発

    日本大学と慶應義塾大学は,量子パルスゲートと呼ばれる量子技術を光パルスの時間分解測定に応用し,超高感度光断層撮影法を開発した(ニュースリリース)。 OCTは生体内を非接触・非侵襲で可視化でき産業にも応用されるが,多重散乱…

    2023.12.26
  • NAISTら,細胞群の振る舞いの変化を明確にする技術を開発

    奈良先端科学技術大学院大学(NAIST),東京大学,生命創成探究センター,大阪電気通信大学は,植物の根の成長を駆動する数百個の細胞の振る舞いを精密に計測し,得られた膨大な数値データを統合して人間が直感的に解釈できる形式で…

    2023.10.20

新着ニュース

人気記事

新着記事

  • オプトキャリア