大日本印刷(DNP)は,両面採光型太陽電池モジュールの発電量を向上させる「DNP太陽光発電所用反射シート」の提供を開始すると発表した(ニュースリリース)。
太陽光発電は,運転開始から約10年が経過した発電所が増え,主要部品の交換を含めた関連機器の更新も増加する中,新たに両面採光型太陽電池モジュール等を導入して発電量を増やすリパワリングのニーズが高まっている。
こうしたニーズに対して同社は今回,高い耐久性と信頼性を備えた太陽電池モジュール向けのバックシートや封止材を提供してきた実績を活かし,反射シートの提供を開始する。このシートは,多彩な素材を組み合わせるコンバーティング技術と信頼性評価技術をもとに開発した,両面採光型太陽電池モジュールの発電量を向上させる製品。
このシートは,太陽電池の発電領域である光の波長400nm~1,200nmに対して,85%以上の高い反射率を有する。光の散乱効果が高いので,幅広い太陽の角度に対応可能。また,シート内には金属層を含んでいないため,安心して使用できるという。
さらに,織物や不織布とは異なり,この製品の表面は平滑であるため,土・泥などの汚れの付着が少なく,防汚性にも優れている。これにより長期間シートの反射率を低下させることなく,発電量の継続的な向上が期待できるとしている。
また,太陽電池モジュールの信頼性評価に用いられている耐高温・高湿試験,および耐候性試験において,屋外で10年相当が経過しても反射率に変化はなく,発電量向上効果が維持できる。また,機械的強度の劣化も無いことから長期にわたり高い耐風性を有している。
このシートは,植物が光合成に利用する光の波長の90%以上を遮ることができるため,シートを敷いた地面への光の透過を抑制して,植物の育成を防ぐことができる。これにより,除草作業の負荷の軽減につながるという。
同社では2020年から北海道旭川市の太陽光発電所でこの製品の実証実験を行なっており,このシートの効果によって,発電量が約6%向上することを確認した。また,敷設から3年が経過した現在でもその性能を維持していることも確認したという。
同社は,両面採光型太陽電池モジュールの導入を検討している発電事業者や,太陽光発電所の設計・調達・建設等を手掛けるEPC事業者,運用・メンテナンス等を手掛けるO&M事業者等にこの製品を提供し,2025年度までに累計50億円の売上を目指すとしている。