リコーは,「リコー路面モニタリングサービス」と同等の性能を維持しながら,より小型・軽量化しユーザー自身の車両で使える新計測装置を用いた「リコー路面簡易点検支援サービス」を開発した(ニュースリリース)。
現在,日本国内に存在する約122万kmの道路(実延長)のうち,自治体管理の市町村道が約84%を占めている。これらは高度経済成長期に敷設された路線も多く,経年による老朽化が社会的課題となっているが,人手不足や効率面の課題があり点検しきれていない路線が数多く存在し,インフラに不具合が生じる前に修繕やメンテナンスを行なう予防保全を実施していく必要がある。
これに対し,2016年には国の点検要綱の改訂により,点検手法の見直しや効率化につながる新技術の採用が推奨されており,都道府県・政令指定都市を含めた様々な自治体でこれらの技術を活用した道路点検・管理のニーズが高まっている。また,令和5年度の各種試験から,専用の測定車両を定めない可搬式の路面性状測定機器による応募が可能になり,性能と測定の簡易さの両立が求められている。
このサービスは,新開発の小型・軽量の可搬式計測装置により,これまで専用車両で使われていた路面性状点検と同等性能の機材を,ユーザー自身の車両に搭載することが可能になる。計測走行をユーザー自身で行なうことで,点検にかかる支払いコストを抑えることができる。また,軽自動車などの小型車に搭載することで,生活道などの細い路線にも対応し,より網羅的な点検につながるとしている。
また,ステレオカメラ1台を用いた撮影システムで,一般に道路の維持・管理の指標として利用されるひび割れ率,わだち掘れ量,平たん性の3項目を計測する。ステレオカメラで路面の3次元画像と輝度画像を同時に撮影し,輝度画像のAIによる機械判読からひび割れ率を,3次元画像からわだち掘れ量と平たん性を自動算出することで,効率的な点検結果作成を実現するという。
さらに,上記の3項目のほか,乗り心地の指標であるIRI(クラス2手法)の測定や,道路維持管理の総合的な指標であるMCI(Maintenance Control Index)値の算出も含め,計測したい項目を任意で選択が可能だという。