KDDI,KDDI総合研究所,エネコートテクノロジーズは,2024年2月から,曲がる太陽電池「ペロブスカイト型(ペロブスカイト太陽電池)」「CIGS型(CIGS太陽電池)」を活用した「サステナブル基地局」の実証実験を群馬県で開始する(ニュースリリース)。
KDDIは,電力などのエネルギー消費を通じて年間約94万トンのCO2を排出しており,これは一般家庭の約40万世帯分に相当する。基地局に関連する電力使用量は同社全体の電力使用量の約5割を占めており,基地局の省電力化が重要な課題となっていた。
そこで同社は2023年6月9日から,太陽光パネルを活用した「サステナブル基地局」を運用開始した。一方,基地局の多くを占めている電柱型基地局やビル設置型基地局など,敷地面積が狭く太陽光パネルの敷設が難しい基地局への展開が課題だった。
今回の実証では,「薄い・軽い・曲げやすい」といった特長を有し,次世代の太陽電池として期待されているペロブスカイト太陽電池を,電柱型の基地局に設置したポールに巻き付ける。
この,曲がる太陽電池を巻き付けたポールを電柱型基地局に8本(ペロブスカイト太陽電池4本,CIGS太陽電池4本)設置する。基地局本体の電柱から少し離した位置にポールを設置することで,ケーブル配線などへの影響を最小限にし,発電効率の最大化を図る。
この実証での設置方法による発電効率を測定し,この基地局の有用性や設置方法を検証する。また,ペロブスカイト太陽電池とCIGS太陽電池の発電効率や設置上の課題を比較する。
曲がる太陽電池による発電で不足している電力は,カーボンフリープランの電力を活用することで,24時間365日CO2排出量実質ゼロを実現する。発電ができない夜間や悪天候時も,カーボンフリープランの電力を活用する。
ペロブスカイト太陽電池で発電した電力で商用基地局を運用する実証実験は国内初だという。これにより,敷地面積の少ない電柱型の基地局でも太陽光発電を可能とし,「サステナブル基地局」の拡大を目指すとしている。