ソニーセミコンダクタソリューションズ(SSS)は,産業機器向けに。業界最多となる有効約532万画素のSWIR(Short-Wavelength Infrared/短波長赤外)イメージセンサー「IMX992」を商品化する(ニュースリリース)。
1台のカメラで,可視光から非可視光である短波長赤外までの広帯域をシームレスに撮影できるSWIRイメージセンサーは,半導体製造におけるシリコンウエハーの貼り合わせ工程や欠陥検査工程,食品の生産における材料検査や異物検査などで活用が進んでいる。
新製品は,受光部のフォトダイオードを形成するInGaAs(インジウム・ガリウム・ヒ素)層と,読み出し回路を形成するSi(シリコン)層をCu-Cu接続で接合することで,画素ピッチを縮小し,業界最小となる3.45μm角の画素サイズを実現した。
これにより,小型でありながら,業界最多となる有効約532万画素,「IMX993」は有効約321万画素を実現した。
新たに搭載した撮影モードにより,環境の明暗に左右されず低ノイズでの撮像が可能。光量が限られる暗い環境においては,「High Conversion Gain(HCG)モード」により,光が電気信号に変換された直後のまだノイズが少ない状態で信号を増幅させることで,その後に載るノイズを相対的に小さくすることができる。
これにより,暗所におけるノイズの影響を抑え,カメラの認識精度の向上につながる。一方,十分な光量が確保できる明るい環境においては,「Low Conversion Gain(LCG)モード」により,ダイナミックレンジを重視した撮像ができるという。
さらに,「Dual Read Rolling Shutter(DRRS)」を有効にすることで,イメージセンサーから特殊な2種類の画像が出力される。これらの画像をカメラ側で合成することによって,ノイズ成分を大幅に除去した画像を取得することも可能。
このSWIRイメージセンサーは,可視光を吸収してしまう表面のInP(インジウム・リン)層を薄膜化することで,その下のInGaAs(インジウム・ガリウム・ヒ素)層まで可視光を透過させることができ,可視帯域においても高い量子効率を実現している。
この製品では画素構造の最適化により,従来比で可視光帯域の量子効率が向上した。これにより,0.4μmから1.7μmまでの広い波長帯域において,より均質な感度特性を実現している。波長ごとの画質差を最小限に抑えることで,多様な産業用途への対応や検査・識別・計測の信頼性の向上に貢献するとしている。