オムロンは,高速3D検査を可能とするCT型X線自動検査装置3モデル,「VT-X750-XL」(生成AI用,5G/6G通信用,車載コントローラ用実装基板向け),「VT-X850」(IBGTモジュール,インバータモジュール向け),「VT-X950」(先端パッケージ(CPU,GPU,通信チップなど向け))を開発した(ニュースリリース)。2024年2月以降に順次発売する。
この製品は,業界・検査対象によって形状や構成素材などが異なることから,X線源の出力特性および検査方法をモデルごとに最適化している。同社独自の制御技術・画像処理技術を組み合わせることで,各半導体パッケージの3D実装で使われるμBumpやC4Bumpのはんだ品質を可視化する。
半導体素子の微小化・薄化にも対応した撮像技術で,X線透過画像からの基板・半導体に利用されるはんだの3Dモデル化を約30%高速化した。また,SEMI通信規格(SECS/GEM)を用いた検査結果データを生産管理システムへ連携し,生産工程の定量的な状態監視を実現する。生産ラインに負荷をかけない高速検査で,半導体の生産歩留まりを改善するという。
また,新たに独自のAI技術を採用し,撮像画像をディープラーニングによって処理することで,製品の良品/不良品判断のインライン検査をVT-Xシリーズとして初めて実現した。AIが画像判断を行なう際のパラメータ設定を自動化するほか,各製品のはんだづけ状態などを,生成した3Dモデルから自動的に判断する。これにより,熟練作業者による画像処理などの専門スキルに頼ることなく,検査プログラムの作成を自動化する。
さらに,X950は,ウエハーとウエハーを接合するプロセスが生じる半導体の中工程向けに,VTシリーズとして初めてクリーンルームに対応した。また,需要変動に伴う急な生産品目の変更に対応する検査設定の自動変更機能を実装しているという。
あらかじめ生産管理システムに登録された,生産品目に適した計測箇所や検査設定を参照し,自動で条件変更を行なう。これにより,段取り替えによる設備トラブルや検査内容の再設定などといった立ち上げロスを軽減する。このほか,従来のVTシリーズと同様にコンベアによる自動搬入出機能を搭載し,製造プロセス内の自動化・省人化するとしている。