日亜化学工業は,高出力赤色半導体レーザー(LD)チップを内製化し,これをパッケージへ搭載したレーザー製品を2024年春より販売開始すると発表した(ニュースリリース)。
RGB3原色のレーザーを用いたプロジェクターは,従来のランプやLED光源を用いたものと比較して,色再現範囲が非常に広く,さらに,小型・高効率を維持して高輝度化を実現できるという利点がある。
近年,映画館向けの高輝度なものに限らず,レーザーTVや小型のスマートプロジェクターなど,個人消費者向けのニーズが増えてきたことから,その需要が急速に高まっている。
LDはプロジェクターのスペックを左右する重要な役割を担っており,RGB各色LDの性能に対して,ユーザーからの様々な要望へ柔軟に対応することが求められている。同社は,これまで青色・緑色LDチップを製造していたが,赤色LDチップは外部から調達していた。そのため,赤色LDチップのQCDは調達先に依存していたため,ユーザーからの多様なニーズにいかに対応するかが課題となっていた。
同社は,ワット級の高出力赤色LDチップの開発に着手し,これを内製化することに成功した。さらに,量産設備への先行投資を積極的に行ない,RGB LDの旺盛な需要に対応可能な生産能力を確保した。
同社は,RGBの複数のLDチップを1つの小型パッケージに高密度実装したレーザー製品「QuaLas RGB」を販売しており,内製化する赤色LDチップが搭載される主力製品の一つとなる予定。この製品のRGB各色レーザーの光出力は青色(波長465nm)が8.3W,緑色(波長525nm)が4.8W,赤色(波長643nm)が10.0Wであり,ディスプレーのホワイトバランスに適した組合せを提案している。
同社は,この内製化の実現により,レーザープロジェクターの今後さらなる市場拡大および高性能化のニーズに応えるため,さらには,その他多様な用途展開も視野に入れながら,赤色LD製品のさらなる高効率化・高出力化を目指し,開発・製品化を加速していくとしている。