岡山大学発ベンチャーのビジュアルサーボは,AI手法を用いた画像処理方法により,野菜や果物などの任意不定形対象物でも,位置・寸法の計測を可能にする手法を開発した(ニュースリリース)。
空間計測センサーとして市販され,一般に用いられている画像情報と距離情報を組み合わせたRGB‐D画像を用いる空間計測手法は,距離計測に赤外線が用いられている。太陽光に含まれる赤外線が外乱として働くためRGB‐D画像を用いた屋外での計測は,難しいという問題があった。
岡山大学発ベンチャーのビジュアルサーボは,ステレオビジョンを用いた空間計測について研究を続け,任意対象物の3次元位置姿勢を計測するコンピュータビジョン構築に成功し,泳ぐ魚の寸法計測などを行なってきた。
この画像計測方法は,左右複眼カメラに同じ対象物が写っていれば,その位置・姿勢・寸法の計測が可能であるという特長があり,そのアイデアは,ビジュアルサーボ所有の特許で権利化されている。今回,AI手法を用いた画像処理方法により,野菜や果物などの任意不定形対象物でも,位置・寸法の計測が可能となった。
農業用ロボットは,屋外の光環境が変化しても計測結果が変化しない計測特性が求められる。性能を確認するために野菜,果物,日用品を16種用意し,寸法を実測すると共に,屋外の日向(照度約52,000 lx)および日陰(1,530 lx)の光環境で対象物の寸法と3次元位置を計測し,日向と日陰の照度差に影響されない位置・寸法の計測を実証した。
上記の結果より,果物・野菜・日用品の寸法と3次元位置を屋外で非接触での空間計測が可能なこと,寸法計測結果は,屋外の日向・日陰の照度環境に影響されないこと,補正後の寸法平均誤差は1mm以下,標準偏差は3mm程度であることが分かった。
研究グループは,収穫時に果物の熟度などの計測・寸法に基づく仕分け作業なども可能な多機能ロボットの開発を進め,2023年度中に農場でのフィールドテストを開始する予定だとしている。