浜松ホトニクスは,独自の微小電気機械システム(MEMS)技術や光半導体素子の製造技術を応用し,紫外光(UV)に高い感度を持つ小型・低価格の「ミニ分光器マイクロシリーズ C16767MA」を開発した(ニュースリリース)。11月15日(水)よりサンプル受注を開始。価格は54,700円(税込)。
この製品は,UVに対応した指先サイズの分光器。同社は,極微量の環境汚染物質の検出が求められる環境計測装置に向け,光検出器や光源を開発・製造・販売している。例えば,現在,フォトダイオードを用いた小型で安価な水質検査装置を河川や湖,海などの測定現場に多数設置し水質をモニタリングしているが,検出することができる物質の種類が限られる。
UVを複数の波長に分け,それぞれの光の強さを同時に測定することができる大型の分光器を組み込んだ高価な水質検査装置により,複数種類を同時に検出することができるが,サイズが大きく据え置き型が主流であることから試料を分析室に持ち込む必要があった。
このため,市場からは安価で測定現場に多数の設置が可能ながら,複数の有機汚染物質を検出することができる小型で安価な水質検査装置の実現に向け,小型・低価格のUV分光器が求められていた。
同社は,独自のMEMS技術を応用した指先サイズのミニ分光器マイクロシリーズをラインアップしているが,分光器を構成するイメージセンサにUVが入射すると感度が劣化してしまうため,現在は可視光による分光分析に応用されている。
今回,このイメージセンサの受光部の構造を工夫することでUV耐性を高めるとともに分光器を構成する回折格子の形状をUVに最適化した。また,独自の光半導体素子の製造技術により,UVの分光時に生じる迷光の入射を抑えるフィルタをイメージセンサ上に形成した。
この結果,高感度・小型・低価格で190~440nmの波長の光に感度を持つミニ分光器マイクロシリーズの開発に成功した。この製品を組み込んだ小型の水質検査装置を河川・湖・海などに設置することで,吸光光度法を用いて,安価に複数種類の水中の汚染物質の含有量を検査することができるほか,可搬型の水質検査装置への応用も見込まれるとしている。
主な仕様は以下の通り。
感度波長範囲:190~440nm
波長分解能 FWHM(Typ.):5.5nm
外形寸法(W×D×H):20.1 × 12.5 × 10.1mm
質量:5g