名古屋大学の研究グループは,分光データの解像度を向上させる独自のアルゴリズムにより,分光測定の時間を短縮できる解析プログラム「スペクトル超解像」を開発した(ニュースリリース)。
分光分析は,半導体,バイオ,医療,化学などの多様な分野で,耐久試験などの手法として研究開発や製品検査に活用されている。
しかし,X線光電子分光(XPS)などの分光測定においては,信号・雑音比を高めるためには長時間の測定が必要であり,研究開発の期間を短縮するためには測定の高速化が求められている。
試料表面の化学種や結合状態を分析するXPS測定では,信号・雑音比の高いスペクトルを得るために積算を行なうことが一般的であり,一つのスペクトルを測定するのに数分~数十分を要する。
各種元素のスペクトルを測定し,深さ方向の計測を行なう場合には,測定時間が数時間~1日以上にかかることもある。
研究グループは,測定時間を短縮するために,独自技術である「スペクトル超解像」技術を開発した。この技術は,測定データの解像度を向上させるもので,短時間で取得した低解像度のデータを,高解像度のデータに変換することができる。
標準的な測定条件(測定時間:約50分)で取得したスペクトルと,短時間測定(測定時間:約10分)のデータに対してスペクトル超解像を施したものを比較したところ,スペクトルデータの品質を保持したまま,測定時間を短縮できることを確認できたという。
さらに,統計的な解析の結果,さらなる測定時間の短縮が可能であり,最大で測定時間を約1/20(約3分程度)まで短縮できることが示唆されたとする。
今回開発した「スペクトル超解像」は,XPSの測定時間を従来の約1/5へと大幅に短くできることを確認できた。さらに約1/20まで短縮できる可能性もあり,研究グループは,XPSを用いた研究開発の加速が期待されるとしている。