日本電気(NEC),鹿島建設,東日本電信電話(NTT東日本)は,光ファイバセンシング技術を応用し,既に電柱に共架している通信用光ファイバを振動センサーとして活用する実証実験を行ない,通信用光ファイバによるトンネル掘削工事の振動検知に世界で初めて成功した(ニュースリリース)。
都市部や住宅街において建設工事を進めるにあたっては,周辺地域の住民の理解と協力を得ることが重要。特に,工事による振動が及ぼす影響については,周辺環境への配慮,住民の不安軽減のためにも,常に把握することが求められる。
しかし,工事に起因する振動は様々あり,それらがどの範囲にどの程度の影響を及ぼすかを予測することは難しいのが現状。また,計測のために現場敷地外に複数の振動計を長期間設置することや,人手による巡回計測にも限界があった。
そのような課題に対応するため3社は,NTT東日本の通信用光ファイバ,ならびにNECと鹿島の光ファイバセンシング技術を用いて,トンネル掘削工事に起因する振動を計測することで,工事振動の影響範囲を常時かつ面的に可視化する実証実験を行なった。
その結果,トンネル掘削工事による振動の影響範囲を常時かつ面的に可視化することに成功した。
この技術は,市中に張り巡らされている通信用光ファイバが振動センサとなるため,新たなセンサの設置が不要であり,センシング装置を接続した通信用光ファイバの全長でかつ同時に,振動分布のモニタリングが可能だという。
また,計測から可視化まで人手を介さないため,常時(24時間,365日)モニタリングし続けることが可能。さらに,工事に由来する振動のみをリアルタイムに抽出して,地図上へのマッピングが可能だとする。
3社は今後,この成果を踏まえ,様々な工事に対応可能な振動状況の計測や可視化方法の検討等を進めていきたいとしている。