大阪公立大学と海遊館は,海遊館で飼育されているイヌザメを対象に,各種臓器の位置や大きさがどのくらい正確に識別できるかの比較を行なった(ニュースリリース)。
CT検査は,ヒトの病気の精密検査などを行なう際に使用されており,ごく一部の海洋生物では骨や軟部組織の画像診断に活用されている。
しかし,サメ類は体腔内に脂肪組織が少ないため,造影剤を使用しないCT検査(非造影CT検査)では様々な臓器を十分に確認することはできなかった。
研究グループは,海遊館で飼育されているイヌザメ(brownbanded bamboo shark)を対象に,造影剤を用いたCT検査(造影CT検査)と非造影CT検査を行ない,得られた画像データと標本から,各種臓器の位置や大きさがどのくらい正確に識別できるかの比較を行なった。
その結果,非造影CT検査では識別できなかった体腔内の臓器は,造影CT検査を行なうことでより正確に識別できることが分かった。
研究グループは,CT検査を用いて健康な状態の画像データを蓄積することで,病気の事例が少ない海洋生物の病気の診断や健康維持にも役立つと期待されるとしている。