京都産業大学は,多重折りたたみグラフェンについての理論計算の研究成果を発表した(ニュースリリース)。
紙や布のような層状の物質は,あまり伸び縮みはしないが,やわらかいために折りたたむことができ,多種多様なかたちを作ることができる。
原子スケールの物質でも薄い膜状物質を作ることができれば,それを折りたたんだ構造体を作ることができ,折りたたむ前にはなかった性質を持たせることができる。今回の研究で着目したグラフェンは,原子1個分の厚みしか持たない究極の薄さの層状物質。
実験手法の進歩によって,ナノスケールのグラフェン1枚を狙った箇所で狙った方向へ折りたたむことが可能になってきたが,その原子構造の詳細についてはまだよく知られていなかった。
今回,平坦な基板上に載せられたグラフェンを多重に折りたたんだ場合にどういった形状のものが実現するのかという問いの下,ナノスケールの原子構造を理論計算の方法で明らかにした。
研究グループは,グラフェンを折りたたむことによって,様々な役立つ性質を引き出すことが期待されるとしている。