北陽電機は,独自のソリッドステートスキャン技術を持つ米スタートアップ企業ルモーティブと,産業用アプリケーションでの使用を狙った次世代の高度な3D LiDARの商品化に向けて,共同開発を進めている(ニュースリリース)。
北陽電機は2004年に国産では初めてサービスロボットの環境認識のための超小型測域センサ(LiDAR)を開発した。その後,搬送機器をはじめ様々な市場にも利用が拡大してきている。
ルモーティブは,液晶偏向特性を利用し,駆動部分(メカ)を一切使用せずに,レーザービームの照射方向を変えることが出来る,独自のビームステアリング技術LCM(Light Control Metasurface)チップの開発に成功し,量産可能な生産技術によりモジュールとして供給を開始している。
また,LiDARモジュールのリファレンスデザインも提供しており,顧客の市場投入を促進している。
今回,両社は,ルモーティブのLCM技術を使用した3D LiDARを共同で開発し,北陽電機のLiDAR製品設計技術を融合することで,市販向け製品として量産化を行なう。
この製品により,従来のメカ方式のスキャン技術では実現できなかったアプリケーションを実現するとともに,今後,LiDARの利用拡大が見込まれるAGV/AMR,サービスロボット等のアプリケーションを中心とした事業拡大を狙っていくという。
この共同開発による新型3D LiDAR(測域センサ)は,量産型製品としては2024年1月より販売を開始する見込みだが,そのプロトタイプである「YLM-X001」の供給を,2023年7月より開始する。このプロトタイプの主な仕様は以下の通り。
検出距離:0.1m ~10m(反射率10%)
視野角(FoV):120°(H)×90°(V) ※ V(垂直)方向の視野角(FoV)はソフトにより変更可能。
距離精度: 距離x0.5%
解像度: 最大VGA(640x480) (デフォルトはQVGA)
角度分解能: 最大0.188°(デフォルトは0.375°)
フレームレート: 10Hz以上
サイズ: 119mm(W)x85mm(D)x79mm(H)(プロトタイプ 製品「YLM-X001」の場合)