北医療大,キラル光電子分光の分子整列の影響を解明

著者: sugi

北海道医療大学の研究グループは,光を利用した分子のキラリティの検出感度の上昇を目指して,多段階の光イオン化過程における,分子整列の影響を明らかにした(ニュースリリース)。

ある分子とそれを鏡に映した分子が異なる場合,それらの分子はキラル分子(あるいはキラリティを持つ分子)と呼ばれる。また,分子に光を照射すると,分子内の電子が放出されることがあり,放出された電子のことを光電子と呼ぶ。

キラル分子の光電子は,光の進行方向とその逆方向で放出される確率が異なり,この違いを利用して,分子のキラリティを検出できる。さらに,光電子の速度が大きい場合は,周囲の分子による光電子の散乱が少ない点や,飛び出す光電子の反跳でキラル分子が自発的に分離(いわゆる光学分割またはキラル分割)するなどのメリットが期待されている。

しかしながら,光電子の速度が大きい場合,検出感度が下がることが知られていた。今回,別の光を使って分子をあらかじめ整列させておくことで,光電子の速度が大きい場合でも,検出感度の低下を防げることが理論で確認できた。

具体的には,イオン化で飛び出す電子(光電子)が速い場合において,検出感度が最大20倍程度となる条件を発見したとしている。

キーワード:

関連記事

  • 近畿大ら,高圧環境下での円偏光発光の計測に成功

    近畿大学と日本分光は,静水圧(100MPa)という高圧環境下での円偏光発光の計測に世界で初めて成功した(ニュースリリース)。 特定の方向に振動する光を偏光といい,中でも円偏光はらせん状に回転する特殊な光で,次世代のセンシ…

    2025.09.16
  • 京大ら,シリカのキラル光学信号発現と増幅起源解明

    京都大学と仏CNRS大学は,シロキサン環構造の立体配座に着目し,シリカのキラル光学信号の発現と信号増幅の起源を明らかにした(ニュースリリース)。 キラルな分子集合体を鋳型に用いたソルゲル法により合成されるシリカは,キラル…

    2025.09.01
  • 科学大,非キラルな金属含有色素に強い光学活性付与

    東京科学大学の研究グループは,キラルなナノ道具を作製し,それを活用して非キラルな金属含有色素に強い光学活性を付与することに成功した(ニュースリリース)。 生体では,光学活性なアミノ酸からなる柔らかい脂肪族キラル空間を利用…

    2025.07.29
  • 近大ら,液晶材料で円偏光の発生と回転方向高速切替

    近畿大学と立命館大学は,アキラル(光学不活性)な発光体を,性質の異なる2種類の液晶材料に添加することにより,らせん状に回転しながら振動する円偏光を発生させ,加える電場の方向を連続的に切り替えることで,円偏光の回転方向を高…

    2025.07.18
  • 千葉大ら,光で操る螺旋分子の巻き方向の制御に成功

    千葉大学,東北大学,量子科学技術研究開発機構,東京科学大学,京都大学は,光応答性分子の自己集合において,わずかに溶け残った集合体により自己集合過程が劇的に変化し,巻き方向が完全に反転した螺旋状集合体が得られることを発見し…

    2025.04.24
  • 北大,光学活性非天然アミノ酸を効率的に合成

    北海道大学の研究グループは,天然に豊富に存在する安価な L-アミノ酸から創薬において重要な光学活性非天然アミノ酸を効率的に合成する新手法を開発した(ニュースリリース)。 アミノ酸及びその誘導体は、生命科学・創薬化学の研究…

    2025.04.04
  • 早大,光のねじれとその立体特性の直接観測法を確立

    早大,光のねじれとその立体特性の直接観測法を確立

    早稲田大学の研究グループは,光のねじれとその立体特性を直接観測する手法を開発し,ナノ物質近傍にできる光のねじれを立体的に可視化した(ニュースリリース)。 自然界には,さまざまな物体や現象において構造の対称性が右手と左手の…

    2025.01.29
  • 東京科学大,キラル空間を持つ分子カプセルを構築

    東京科学大,キラル空間を持つ分子カプセルを構築

    東京科学大学の研究グループは,キラル空間を持つ分子カプセルの新構築法を開発した(ニュースリリース)。 生物はキラルな糖やアミノ酸を活用することで,DNAやタンパク質などのキラルな生体構造を精密に構築している。これらにより…

    2024.10.08

新着ニュース

人気記事

新着記事

  • オプトキャリア