古河電工,東大に超小型衛星研究開発講座を開設

古河電気工業(古河電工)と東京大学は,4月1日より社会連携講座「小型・超小型衛星におけるビジネスエコシステムの創成」(講座長:中須賀真一教授)を開設し,3年間の共同研究を開始する(ニュースリリース)。

近年,世界の人工衛星市場においては大型衛星に比べて低コストかつ短期間で開発が可能である小型・超小型衛星の利用拡大が期待されており,特に地球観測や通信インフラの構築等のミッションで多数の衛星を利用する小型コンステレーションに向けて衛星開発数が爆発的に増大する可能性が高まっている。

こうしたなか,古河電工と東京大学は社会連携講座を開設し,今後大量に製造が必要になる小型・超小型衛星の開発・製造・供給体制を構築・強化し,競争力のある衛星サービスを生み出す基盤となるビジネスエコシステムの創成を目指す。

古河電工は新たな事業領域の一つとして宇宙領域への展開を推進しており,長年の研究開発により培った光ファイバケーブルやファイバレーザなどのフォトニクス技術,ヒートパイプなどの放熱技術,電源技術,設計・ものづくりの総合的な関連技術などを活かして,宇宙領域における機器の小型化や通信の高速化・大容量化に対応する新しいソリューションの提供に向けて取り組んでいる。

それをベースに,さらに本格的に宇宙ビジネスに乗り出すべく,東京大学を中心とする超小型衛星のビジネスエコシステムの創成・発展に貢献することで宇宙事業創出の加速を図る。

講座長を務める中須賀教授は,長年にわたり日本の宇宙開発を牽引し,2003年の世界初の1㎏衛星の打ち上げ成功を皮切りに,すでに15機の100㎏以下の衛星(超小型衛星)を開発し,多くのベンチャー会社の設立にも関与し,日本の小型・超小型衛星分野の今日の隆盛の基礎を築いた。政府の宇宙政策委員なども歴任し,世界の状況の調査分析や日本の宇宙開発全体の戦略立案にも貢献している。

同講座では中須賀教授の指導のもと,古河電工の持つ技術力を最大限活用し,今後増大が予想される小型・超小型衛星製造需要に応え,世界と勝負できる性能を有する衛星開発に向けた様々な研究を行なうとしている。

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