浜松ホトニクスは,データ伝送速度1.25Gb/sで光ファイバ通信が可能な「1.25Gb/s通信用光トランシーバ P16671-01AS」を開発した(ニュースリリース)。
同社は,光ファイバ通信用としてデータ伝送速度最大150Mb/sの通信が可能な,発光素子と駆動回路を一体化した送信フォトIC,受光素子と信号処理回路を一体化した受信フォトICを開発,製造,販売しているが,より高速なデータ通信が可能で,光ファイバとの結合機構までを備えた光トランシーバの開発に取り組んできた。
従来製品では発光素子としてLEDを使用しているが,新製品はより高速動作が可能な垂直共振器面発光レーザー(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:VCSEL)を使用すること で,データ伝送速度を向上させている。
VCSELは光出力に個体差があり周囲の温度による変動も大きいため,LEDに比べて扱いが難しいという課題があるが,新製品ではVCSELの光出力を個々に補正する駆動ICを採用することで,安定動作を実現している。さらに,自社で設計した高速動作の受光素子と,その特性を最大限に引き出す信号処理ICを用いることで,データ伝送速度1.25Gb/sの光トランシーバの開発に成功した。
光ファイバとの結合性を最適化したレンズ設計と光半導体の実装,組立技術により,同社の製造工程において受発光素子と口径の小さい光ファイバの調芯が不要なパッシブア ライメント方式を採用し,小型,低コスト化した。さらに,既存製品で培った製造,品質管理のノウハウを基に高信頼性を実現しているとする。
標準規格に対応した光コネクタ形状を採用することで,用途に応じた光ファイバとの接続が可能。機器内の短距離基板間通信において,安価なプラスチック光ファイバ(Plastic Optical Fiber:POF)を使用することで,低コストながら高速なデータ通信を実現する。
また,ハードプラスチッククラッドファイバ(Hard Plastic Clad Fiber:HPCF)や大口径石英ファイバを使用することで伝送距離が最大100mとなり,機器間の通信やネットワークの構築が可能になるなど,この製品と光ファイバの組み合わせにより幅広い用途において高速な光ファイバ通信が実現できる。
同社では,国内外の医療機器や理化学機器,半導体製造機器メーカーなどに向け,2月13日(月)よりサンプル提供を開始するとしている。