浜松ホトニクスは,波長2500nmまでの近赤外光を試料に照射し拡散反射光を高い効率で集光する拡散反射光源「L16462-01」を開発した(ニュースリリース)。
この製品は,波長2500nmまでの近赤外光を出力する4つのランプを内蔵した,近赤外光を利用するリアルタイム成分分析装置向けの光源。中心に光ファイバを接続することで,光を試料に照射するとともに微弱な拡散反射光を高い効率で集光し,分光器に導光することができるという。
分子には固有の振動があり,そのエネルギーに起因する特定の波長の赤外光を吸収する。この性質を利用して試料に含まれる成分の種類や量を分析することができるため,同社は,製造ライン上での近赤外光を利用する非破壊,非接触の成分分析用途に向け,波長1100nmから2500nmまでの近赤外光に高い感度を持つ小型のFTIR分光器を開発,製造,販売している。
現在,市販の光源と組み合わせて使用されているが,光源からの光は光ファイバを通して試料に照射しているため,波長1700nmから2500nmまでの光がファイバに吸収され光量が不足するという課題があった。
ランプを試料に近接させ直接照射することで,光ファイバによる吸収を減らし光の利用効率を高めることができるが,ランプの光が拡散反射光に混ざり迷光が生じるため正確な測定ができなかったとし,今回,ランプの個数や位置,照射角度などを一から設計するとともに光源の構造を工夫することで,ランプを試料に近接させながらも迷光の発生を抑えた小型の拡散反射光源の開発に成功。また,試料からの微弱な拡散反射光を高い効率で集光することができる構造としたという。
この製品により,近赤外光を利用するリアルタイム成分分析において,光量が不足していた波長1700nmから2500nmまでの光の利用効率を高め,脂肪やタンパク質などを含む試料をより正確に分析することが可能。この製品とFTIR分光器を組み込んだ小型分析装置により,食品や薬剤,プラスチック製品の製造ラインにおける品質管理の工程を自動化することで,生産効率や品質管理の信頼性を高めることができると見込まれるとしている。