光産業技術振興協会(OITDA)は,2月8日(水),リーガロイヤルホテル東京(東京都新宿)にて「第38回櫻井健二郎氏記念賞」の表彰式を挙行する(協会HP)。
この賞は,元電子技術総合研究所 電波電子部長,元同協会理事 故櫻井健二郎氏が光産業の発展に尽くした功績をたたえるとともに,光産業及び光技術の振興を図ることを目的として創設したもの。光産業技術の分野において先導的役割を果たした業績に対し,年1回,同協会が表彰するもので,2022年度で38回を数える。
今回,九州大学 工学研究院応用化学部門主幹教授 同最先端有機光エレクトロニクス研究センター センター長の安達千波矢氏が,「高効率有機発光材料の創製と光デバイスへの応用」の題目での受賞となった。
同氏は,大型テレビなどに用いられている有機発光ダイオード(OLED)の研究開発に黎明期から携わり,電子輸送層を有するダブルヘテロ構造をいち早く提案するとともに,発光層に従来の蛍光材料に替えて燐光材料を用いれば内部量子効率がほぼ100%となることを実証した。
また,分子設計の自由度が大きく,レアメタル・フリーな熱活性化遅延蛍光材料を創製し,ほぼ100%の内部量子効率のOLEDを実現した。さらに,色純度を上げて色域を広げたOLEDの開発や有機半導体レーザーへの挑戦にも意欲的に取り組んできている。
このように,有機分子の発光についての深い知見と洞察に基づき,高効率な有機発光材料を創製することにより,OLEDの学術的基盤の構築に貢献するとともに,その実用化に向けた研究開発を主導し,我が国の光産業とりわけディスプレー分野の発展に貢献したとして,今回の受賞となった。
表彰式は2月8日(水),リーガロイヤルホテル東京ロイヤルホールⅠにて開催される「2022年度光産業技術シンポジウム」終了後,16:35からの予定で同所にて執り行なわれる。
また,表彰式では櫻井健二郎氏記念賞委員長の荒川泰彦氏(東京大学名誉教授)より,表彰状ならびに副賞として記念メダルと賞金が贈呈される予定。