キヤノンは,生産ラインにおける材料などの搬送物の移動量や速度を高精度に測定する計測機器の新製品として,新光学系の採用により,±10m/秒まで測定可能な非接触測長計「PD-710」を2023年1月上旬に発売する(ニュースリリース)。オープン価格。
プレス業界や製紙業界などでは,材料のロスを削減したり,搬送の不具合による生産量低下を防ぐために,正確に搬送物の長さや速さを測定できる計測機器を導入している。その中でも,製紙業界では,高速で搬送されるトイレットペーパーやダンボールなどを正確な長さで切断したいため,より高精度に移動量を測定したいというニーズがあるという。
新製品は,新レンズの採用や新光学系に対応したアルゴリズムの開発により,従来機種「PD-704」と比べ2.5倍の速度である±10m/秒で動く対象物の速度を測定することができる。これにより,従来機種でターゲットとしていたプレスラインでの鋼板などの搬送だけではなく,高速で搬送されるトイレットペーパーなどの測定が可能となったという。
さらに,今後急速に普及が進むと予想される電気自動車用モーターの主要部品であるモーターコアの製造で必要とされる超高速プレスラインの送り量の測定も可能になるとする。
接触式の計測器に比べ,測定対象物に接触せずに測定できるため,測定時の搬送物への傷や汚れを防止する。また,測定誤差の原因となる装置内での滑りや摩耗が発生せず,測定対象物を厚みの異なるものに入れ替えた際のダウンタイムも少なくメンテナンスも容易。
さらに,製品サイズやインターフェースが従来機種と同様のため,買い替えの際に,従来使用していたケーブルやユーザーが準備するプログラマブルロジックコントローラー(PLC)などのシステム全体を活用できるという。
また,同梱のソフトウエアに入っているパラメーターを使用することで,測定対象物の表面状態や測定環境に合わせた測定が可能になるとしている。