ナイトライド・セミコンダクターは,従来のマイクロ紫外線(UV)LEDピーク波長385nmに加えて,赤(R)LEDピーク波長620nm,緑(G)LEDピーク波長510nm,青(B)LEDピーク波長450nmの3種類の可視光のマイクロLEDの高効率発光に成功した(ニュースリリース)。
マイクロLEDディスプレーは,液晶(LCD)及び有機ELディスプレーの次世代ディスプレーとして,各国企業が開発を競っているが,マイクロLEDチップのコストと安定供給が課題になっている。
特に,赤色のLEDは,ガリウムひ素(GaAs)やガリウム燐(GaP)が,材料的に脆弱,屈折率が高いために光取り出し効率が低いといった理由で,マイクロチップ化することが困難なだけでなく,高効率化にも課題を抱えている。
同社は,マイクロUV-LEDで,赤,青,緑の3種類の蛍光体を励起する方法でディスプレーの開発を進めているが,今回,高度な結晶成長技術を応用して,赤色,青色,緑色InGaNマイクロLEDチップの量産技術の開発に成功した。チップサイズは赤色が24μm×48μm,緑と青は12μm×24μmとなっている。
これによりユーザーは,従来から進める,赤,青,緑のマイクロLEDチップを実装する方法で,マイクロLEDディスプレーの量産を実現できる。そこで同社は,マイクロLEDディスプレーを量産するにあたって,様々な波長,及びサイズのチップを試して最適なチップを選択できるよう,キットを販売する。価格は1セット:USD7000ドル若しくは日本円100万円。
MOCVD(有機金属気相成長)装置にてサファイア基板上に成長した,InGaN系LED波長620nm赤色LED,波長510nm緑色LED,波長450nm青色LEDの3種類のウエハーから切り出したブロック3枚に波長385nmのUVLEDのブロック1枚,合計4枚が1セットになる。
1ブロックのサイズは17mm×13mmで,マイクロチップサイズ12μm×24μmから最大288μm×288μmまでの9種類のサイズのマイクロチップが基板の上に載っているという(但し,赤色で発光する最小チップサイズは24µm×48µm,それ以下のサイズは非発光)。
量産にあたっては,最適な波長及びサイズのチップ1種類を,顧客の要望に応じて,4インチ若しくは6インチサファイア基板にエピウエハを成長して,マイクロLEDチッププロセス加工を行なうとしている。