古河電気工業は,業界最高水準にあたる高出力100mWのDFBレーザーダイオードチップを開発した(ニュースリリース)。
クラウドサービスや5Gなどの情報通信サービスの普及に伴い,通信トラフィックは増大し続けている。
データセンタにおいては,強度変調方式の光トランシーバが広く用いられ,近年では,小型・高集積,かつ低消費電力,低コストの面で強みを持つシリコンフォトニクス技術が広く採用されており,単一波長で高出力な光源としてDFBレーザダイオードチップが多く搭載されている。
通信トラフィックの増大に伴い光トランシーバの高性能化が進み,従来の伝送速度は400Gb/sだったが,800Gb/s超,さらには1.6Tb/sへと高速化の要求が高まっている。この伝送速度の増加により高速強度変調時の光損失が大きくなり,搭載されるDFBレーザダイオードチップについてはさらなる高出力化が望まれている。
一方でデータセンタやネットワーク基地局においては,ネットワーク機器で使用される光トランシーバ等の使用量が増加しており,エネルギー消費量の増大が社会問題となっている。
今回同社は長年培ってきたInP(インジウムリン)半導体チップ技術により,世界最高水準にあたる100mW高出力DFBレーザダイオードチップの開発に成功した。これにより,従来では対応できなかった800Gb/s超の大容量通信をサポートする高性能光トランシーバを実現でき,今後の通信トラフィック増大に対応することが可能になるとする。
また,同社製高出力DFBレーザダイオードチップがキーデバイスとなって高性能トランシーバを実現することで,使用される光トランシーバ台数の増加を抑え,データセンタのエネルギー消費量の削減も期待できるとしている。