東大,宇宙再電離の進行不均一の原因を解明

東京大学の研究グループは,宇宙再電離と呼ばれる初期宇宙空間の電離状態の変化について,場所によってその進行具合が異なることの原因が,紫外線輻射場のゆらぎであることを明らかにした(ニュースリリース)。

誕生したばかりの宇宙は高温ですべての物質は電離していた。その後,宇宙が膨張するとともに温度が下がって物質はいったん中性になったが,やがて誕生した初代天体の出す光によって再び電離され(宇宙再電離),現在の宇宙になったと考えられている。

宇宙再電離の進行の程度を探る手段として,遠方宇宙に存在するクェーサーの光がどの程度吸収されているか,すなわち宇宙の透明度のようなものを測定することで,地球とそのクェーサーの間での再電離の進行の程度がわかる。つまり,クェーサーのスペクトルの一部が暗い(明るい)=通過した中性ガスが多い(少ない)=再電離が遅い(早い),という関係になる。

しかし,同じ時代でも場所によって透明度は大きく異なり,再電離は宇宙全体で一様に進行したわけではないことがわかってきた。さらに,宇宙におけるガスの密度のゆらぎだけではこの場所による透明度の違いは説明できず,再電離の空間的非一様性の原因は謎だった。

この原因として有力なものに,紫外線輻射場のゆらぎと銀河間ガスの温度のゆらぎの2つがある。紫外線輻射場のゆらぎが原因の場合,再電離が進行している領域ほど銀河が多いと予測されているが,温度のゆらぎが原因の場合は,逆に再電離が進行している領域ほど銀河が少ないと予測されている。

研究では,すでに観測されているクェーサースペクトルを用いて,約128億年前の時代の宇宙の透明度を調べ,その中から再電離の進行が極端に遅い領域と早い領域の計3領域を狙って,すばる望遠鏡ハイパーシュプリームカム(HSC)を用いて撮像観測を行なった。

透明度を測定した時代と同じ時代に存在するライマンアルファ輝線銀河と呼ばれる種族の銀河を検出し,その分布を調べた結果,再電離の進行が早い領域ではライマンアルファ輝線銀河が多く,進行の遅い領域では少ないことが示された。この結果は紫外線輻射場のゆらぎを原因とするモデルの予測と一致する。

より定量的に調べるため,宇宙の透明度と銀河密度の関係を先行研究で調べられた領域と合わせて見ても,ガス温度のゆらぎよりも紫外線輻射場のゆらぎを原因とするモデルの予測に近かった。

したがって,再電離の進行が空間的に非一様である原因は,紫外線輻射場のゆらぎであることがもっともらしいとする。研究グループは今後,次世代の望遠鏡・観測装置による観測を進めることで,宇宙の歴史を一層理解できることが期待されるとしている。

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