北大,UVナノインプリントの樹脂設計に新知見

東京理科大学の研究グループは,4種類のUV硬化樹脂を対象に,UVナノインプリントリソグラフィにおける数ナノメートル幅の微細なトレンチ(溝)への充填過程について分子動力学シミュレーションを行ない,充填の成功に必要な主な分子的特徴を明らかにした(ニュースリリース)。

ナノインプリントリソグラフィは,従来の半導体露光技術よりも電力のコストが少ない微細加工技術として注目を集めている。中でもUVナノインプリントリソグラフィはプロセス速度や加工面積に優れ,半導体製造や生命科学分野などで実用化されつつある。

しかし,充填プロセスにおいて樹脂が鋳型に付着したり,基板から剥がれ落ちるといった課題があった。これまでに研究グループは,4種類の樹脂を対象に,その充填過程を分子動力学シミュレーションで解析し,2nmおよび3nmのトレンチ(溝)は,粘度が高い樹脂ではうまく充填できないという結果を得ている。

そこで研究では,UV硬化樹脂としてN-ビニル-2-ピロリドン(NVP),1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA),トリ(プロピレングリコール)ジアクリレート(TPGDA),トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)を,重合開始剤としては2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(DMPA)を用いて4種類の樹脂を準備し,UVナノインプリンティングの充填プロセスの分子動力学シミュレーションを行なった。

その結果,HDDA,NVP/TPGDA/TMPTA,TPGDAを含む粘度10mPa・s以下の樹脂では,幅2nmおよび3nmのトレンチを充填することに成功したが,TMPTAのように嵩が高く,高粘度の樹脂では,幅2nmおよび3nmのトレンチを埋めることができなかった。

解析の結果,TMPTAの回転半径は,動径分布関数の最初のピークが発生する距離の半分より小さいと示され,動径分布関数と回転背景は,低粘度フォトポリマーの選択と設計に役立つ指標であることが示唆された。

また,直鎖状のポリマーであるHDDAとTPGDAの形状を比較したところ,TPGDAはコンパクトな状態を形成する可能性が高く,より柔軟で多くのコンフォメーションを取ることが明らかになった。

この柔軟性のため,TPGDA分子では重合反応にかかわる末端官能基が同一分子内で近づくことができ,分子内架橋が起こりやすくなると考えられるという。この結果は,実験で観察されたUV硬化HDDAとTPGDAベースの材料間の硬度の違いを説明することができるとする。

この成果は樹脂の選択・設計の指針となるものであり,研究グループは半導体製造の効率化に寄与するとしている。

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