NECは,NTTリミテッド・ジャパン,PC Landing Corp.,三井物産,JA三井リースの4社が設立したセレンジュノネットワークを契約先として,日本(千葉県,三重県)と米国(カリフォルニア州)を結ぶ光海底ケーブル(JUNO Cable System,ジュノケーブルシステム)のシステム供給契約を締結した(ニュースリリース)。
従来,太平洋横断のような長距離光海底ケーブルは,光信号を増幅する中継器への電力供給の制約から,ケーブル1本に収納できる光ファイバー数は32心(16ファイバーペア)が最大だった。
今回敷設するのは,新たに開発した低消費電力の中継器と,最新のSDM(Space Division Multiplexing,空間分割多重)技術により,太平洋横断ケーブルとしては初めて,最大40心(20ファイバーペア)となるケーブル。ケーブルの総通信容量は毎秒350Tb/sとなることが期待され,これは日米間を結ぶ海底ケーブルとして最大の通信容量となるという。
日本は米国とアジアの中間に位置し,アジア太平洋地域のデータハブとして重要な役割を担っている。このケーブルは,日米およびアジア各国における5G普及をはじめとした旺盛な通信需要に対応し,デジタル経済の発展を支える。
また,日本の離れた2拠点から米国への通信ルートを確保することで,日本近海での自然災害に対して高い耐障害性を有する。さらに,波長選択スイッチ(WSS:Wavelength Selective Switch)機能により,各ルートの通信波長帯域を遠隔から変更することで,顧客のビジネスニーズや通信トラフィック需要の変化への柔軟な対応が可能だとする。
このケーブルの総距離は約10,000km,2024年末に完成予定。なお,海底ケーブルはNECの子会社であるOCCで,海底中継器はNECプラットフォームズで製造している。