浜松ホトニクスは,同社連結子会社であるPhotonics Management Europe S.R.L(PME)が,レーザー及びレーザー装置部品を製造,販売するデンマークNKT Photonics A/S(NKT Photonics)の全株式を,NKT Photonics A/Sの親会社であるNKT A/Sより取得し,子会社化(浜松ホトニクスの孫会社化)すると発表した(ニュースリリース)。
NKT Photonicsは超短パルスレーザー増幅用,ファイバー転送用の独自のフォトニック結晶ファイバー製造技術を持つファイバーレーザーメーカー。主力製品として,スーパーコンティニューム光源,単一周波数ファイバーレーザー,超短パルスレーザーがある。
スーパーコンティニューム光源は,顕微鏡分野における白色光源として,半導体分野では3次元化される最先端半導体デバイスの検査用光源として使われている。単一周波数ファイバーレーザーは,量子コンピュータ分野において,高出力・高波長安定性という特長を活かし,イオンや原子のコールドトラップ(冷却捕獲)用レーザーとして使われている。
超短パルスレーザーは,医療分野では眼科分野における手術用レーザーとして使用され,さらに,半導体分野においては新たに半導体ウエハーの切断工程で求められるレーザーとして,産業分野では高精度非熱加工用レーザーとしての応用展開が期待される。
浜松ホトニクスは化合物半導体製造技術をベースとしたレーザーダイオード事業を得意とし,ファイバーレーザを得意とするNKT Photonicsとは相補的な関係となり,今後同社がレーザー応用事業を拡大していく上で,NKT Photonicsの製品群は重要位置付けとなる。特に小型軽量化が可能なファイバーレーザーは最も注目されている有力なレーザ技術であるため,更なる応用分野の拡大を期待をしているとしている。
なお,今回の買収における取得価額は約205百万ユーロ(約29,499百万円),NKT Photonicsは資本金2.0百万ユーロ(287百万円),2021年12月期の連結売上高は80.1百万ユーロ(11,526百万円)となっている。