オリンパスの子会社であるエビデントは,高精細な画像を取得し,研究効率向上に貢献するデジタルイメージングシステム「APEXVIEW APX100」を2022年9月上旬から全世界で発売すると発表した(ニュースリリース)。
様々な産業分野でデジタル化が進む昨今,顕微鏡を使う研究者からは,観察前に行なうサンプル探しやピント調整,研究の準備段階にかかる手間を削減して,実験結果の分析・考察に集中したいというニーズがあった。
この製品はAIを活用したスマートサンプルナビゲーターを搭載。サンプルをサンプルホルダーにセットすると,ホルダー全体のマクロ画像を自動撮影し,AIがサンプルの位置を認識する。これによりサンプルの場所探しなど,観察前の煩わしい準備工程を自動化し,最短10秒で観察をスタートできるという。
また,新しいアルゴリズムの開発により,従来の顕微鏡ソフトウェア「cellSens」に比べて,AF(オートフォーカス)速度が最大12倍に向上しているため,ユーザーはストレスを感じることなく使用可能。さらにBOX型を採用しているため,従来の蛍光観察には必要だった暗室環境が不要となるとしている。
また,この製品はオリンパスの対物レンズラインアップ25種類に対応。高演色LED光源や,色再現性に優れたカラーカメラを使用することで,目視観察に限りなく近い忠実な色味を再現する。さらに,この製品はエビデント独自の新たな透過観察手法であるグラディエントコントラストに対応し,iPS細胞や脳スライスのような厚みのあるサンプルにおいて,高コントラストで立体的な観察が可能となる。
さらに,この製品が撮影したデータは,ソフトウェアが判別し整理を行ない,サンプルごとに自動で生成されるフォルダへ保存される。また,エビデントが提供するクラウドサービス「Olympus Life Science Solution Cloud(OLSC)」と連携ができるため,研究に関するデータを一元管理することが可能。過去の実験データの参照や,研究者間での共有をスムーズに行なうことで,正確で効率的なデータ管理を実現することができるとしている。