富士通とNECは6月6日,NTTドコモと日本電信電話(NTT)と,第6世代移動通信方式(6G)の実用化に向けた共同実験および共同開発を行なうとそれぞれ発表した(ニュースリリース 富士通,NEC)。
5Gを上回る高速・大容量通信にはより広い周波数帯域の活用が不可欠であり,6Gでは100GHzを超える高周波数帯の利用が検討されている。これにより5Gの10倍となる,100Gb/sを超える通信速度の実現や,1/100の超低消費電力,宇宙空間・海上も含めた地球規模のエリア化などの実現が期待されている。
一方,電波は周波数が高くなると障害物で遮蔽されやすくなるため,離れた地点間での通信が難しくなる傾向がある。
そこで富士通は,ドコモおよびNTTとともに,複数のサブテラヘルツ波アンテナを分散配置し,受信端末に対して様々な方向から幅広く同時に電波を発射する分散MIMOの共同実験を行なう。この共同実験を通して,障害物による遮蔽に強く,100Gb/sを超える高速無線通信を安定して実現する技術開発を目指す。
また富士通は,サブテラヘルツ波における高速・大容量通信を小型・低消費電力で実現するために,窒化ガリウム(GaN)やインジウムリン(InP)などの化合物半導体を活用した高周波無線装置の実現を目指すとしている。
一方NECも,6Gに関する実証実験で協力することに合意した。同じく6GHz以上のミッドバンドからサブテラヘルツ帯の活用に向けた分散MIMO技術と,高周波数帯電波の空間多重により大容量化を実現するOAM多重伝送技術の研究開発・実証実験に取り組む。
さらにNECは,小型・低消費電力化に向けたデバイス技術,高精度なビームフォーミング技術,高周波数帯に適した伝送方式や伝搬モデル,AIを活用した最適化や信号処理技術などの研究開発にも取り組む。NECはこれらの技術を,ドコモとNTTによる2030年頃の6Gサービス提供開始に向けて開発し,実用化を目指すとしている。