NICT,4コア光ファイバで1Pb/s超伝送に成功

情報通信研究機構(NICT)は,研究開発用の標準外径(0.125 mm)4コア光ファイバにおいて広帯域波長多重技術を駆使し,世界で初めて同ファイバでの1Pb/sを超える大容量伝送実験に成功した(ニュースリリース)。

増大し続ける通信量に対応するための新型光ファイバ研究が進み,近年は,既存製造設備でケーブル化が可能な標準外径の新型光ファイバが研究開発用に市販されている。NICTは,新型光ファイバにより多様な伝送システムを構築し,多くの世界記録を達成してきた。

2020年12月には,信号収容密度が高い15モード光ファイバで1Pb/sの伝送実験に成功しているが,受信側で複雑なモード分離処理が必要であり,実用化には長期にわたる大規模な専用集積回路の開発が求められる。また,4コア光ファイバでは各コアで従来の光通信システム向けの光送受信技術を利用できるが,2020年3月の4コア光ファイバを用いた実験では,伝送容量が610Tb/sだった。

今回研究グループは,標準外径の4コア光ファイバを用い,波長多重技術と複数の光増幅方式を駆使した伝送システムを構築し,1.02Pb/s,51.7 km伝送実験に成功した。これまでもNICTはS帯の一部を使用していたが,この実験では,S帯用のラマン増幅を広帯域化することで20THzの周波数帯域を利用可能とし,計801波長を使用した。さらに,全周波数帯域で情報密度の高い256QAM変調方式を使用し,1.02Pb/s伝送を実現した。

標準外径光ファイバは,実際に敷設するケーブル化の際に既存製造設備を使用することが可能。また,マルチコア方式の光ファイバ通信では,従来の光通信システム用の光送受信技術を利用でき,モード分離用の大規模専用集積回路の完成を待たずに大容量基幹系通信システムの早期実用化が期待できるという。

Beyond 5G以降の社会では,臨場感あふれる先端的なコミュニケーション技術が普及し,一般的に活用されるようになる。情報通信サービスの進化に伴い,通信システムが支える通信量も爆発的な増加が予想される。この成果は,Beyond 5G以降における多くの新サービス普及を支える基幹系通信システムの早期実現に貢献するものだとする。

研究グループは今後も引き続き,継続的な光通信システムの向上を実現すべく,早期,長期両面で実用可能な標準外径光ファイバの研究開発を推進し,更なる性能向上の可能性を探求するとしている。

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