日本電信電話(NTT)は,IOWN APNの様々な無線システムへの適用実現に向け,IOWN APNと無線システムを無線の利用状況に応じてリアルタイムに連携制御する実証実験をした(ニュースリリース)。
労働人口の減少を背景に,製造業におけるDXが急速に拡大している。DXの普及拡大に向けては,ネットワークの性能・信頼性を担保しつつ,ネットワーク回線の効率的な利用が課題となっていた。
実証実験では,IOWN Global Forumにおいて検討中の拡張連携インターフェース(Extended Cooperative Transport Interface/eCTI)を初めて採用し,マルチ無線プロアクティブ制御技術(Cradio)と,低遅延FDNを連携した。
これにより無線利用状況に応じてIOWN APNの光パスをリアルタイムに切り替え,無線(Wi-Fi)~光(APN)区間で,”つながり続けるネットワーク”の提供が可能となることを確認した。
技術のポイントとしては,端末近辺の無線フレームを常時収集する収集BOXにて,精緻な無線環境情報を取得することで,無線区間の電波変動を把握できたことが挙げられる。これにより特定のAP(アクセスポイント)に帰属する接続端末数の変化を観測し,その変動をきっかけとして,協調制御機能部へ通知(もしくはユーザ指示に基づき,協調制御機能部へ通知)。協調制御機能部は,外部システムである低遅延FDNの制御機能部に対し,連携制御を実現した。
また,Cradioと低遅延FDNの制御機能部間で,eCTIを介して無線区間の電波状況や接続端末数,用途変更などの情報をやりとりし,無線+光区間のリアルタイム制御を実現した。
さらに,光ネットワークの伝送時間とエッジサーバ上のアプリケーションの処理時間をトータルで監視し,サービスが持続可能なようネットワーク経路および使用するエッジサーバをリアルタイムに同時に切り替える技術。本実証では,光ネットワークとしてIOWNAPNを適用し,光スイッチの高速切り替えを実現した。
この成果により工場内のDXを支える移動型ロボットを持続的に操作することや,稼働する機器類の利用状況(端末台数,利用アプリケーションの変化)や用途(ビッグデータ収集解析,遠隔ロボット操作)に応じて,無線アクセスポイントからサーバまでのAPN回線の接続先を自由に変更できることから,IOWNAPN1回線の複数用途によるシェアが可能となり,工場におけるDXの効率化などが期待できるとしている。