東北大ら,放射光で枝豆の内部構造を見える化

東北大学,JA仙台,SPring-8は,東北大学キャンパス内に設置され,仙台・東北の産業への波及効果が期待される次世代放射光施設の完成を視野に入れた研究を実施し,枝豆の内部構造や調理の影響を放射光により従来にない精細さで可視化することに成功した(ニュースリリース)。

青果物の美味しさにおいて,例えば甘さについては糖度により容易に測定可能だが,テクスチャに関わる食感の評価は難しく,その原因の一つとして,内部構造を非破壊で観察する方法がなかったことが挙げられる。

そこで,ブランド化を進める枝豆の美味しさの要因解析に着目し,内部構造を非破壊で測定した。研究では放射光を利用した分析として,X線位相コントラストを用いたイメージングにより内部構造を可視化し,硬さとの関係を検討することにより,美味しさのみえる化のための基礎的知見を得ることを目的とした。

宮城を代表する品種であるミヤギシロメの冷凍枝豆を茹でて,茹で時間による食感の変化を,人による官能評価と機器による物理性の評価(破壊測定)により測定するとともに,SPring-8において非破壊でX線位相コントラストデータを取得した。

得られたデータを用いて2次元画像を作成したところ,枝豆の可食部である子葉間の間隙,亀裂,最外層の種皮の内側に存在する薄膜などを解像度よく観察することができた。また3次元画像では,通道組織(維管束)およびそこから派生したと思われる亀裂を観察した。さらに茹で時間による水分の浸入状態を測定することにより,柔らかさとの関連が示された。

今回,精細な内部構造を非破壊で観察することができたことから,今後,枝豆に限らず野菜や果物の美味しさや内部障害の検出などの品質評価に応用できる可能性が広がったとする。また,放射光の利用においては,X線位相コントラスト分析の他にも様々な測定法があり,研究グループは現在,X線小角散乱分析によってタンパク質等の物質レベルで歯ざわりや滑らかさの見える化を試みているという。

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